国際パラリンック委員会(IPC)アンドリュー・パーソンズ会長が5日、都内のメインプレスセンターで、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長と大会総括会見を行った。

パーソンズ氏は「コロナ禍を考えると、日本が行ったような大会開催は諸外国ではできなかった。パラリンピックのムーブメントは強固なものとなった。世界は日本の果たした役割を忘れない」と高く評価した。新型コロナウイルス感染が止まらず、危ぶまれた開催についても「多くの困難に直面することが想定できた。(開催は)正しい判断なのか、開催できるのか。イエスだった。イエスと確信した」と正当だったとあらためて強調した。

一方、大会中に選手村内で選手が車との接触事故から欠場した件や弁当の大量廃棄やマスクなどの医療資源廃棄など、問題が続々と発生した。パーソンズ氏は「大きな問題はなかった。柔道選手と車の接触事故はあったが、重大な事件はなかった」。橋本氏も「全体としては五輪同様、安心安全を最優先に大きな問題なく、閉幕を迎えられた」と、それぞれ大きな問題はなかったとの認識を示した。

コロナ感染拡大が止まらない中で、開催するべきではなかったとの声も最後まで根強く残った。パーソンズ氏は「意見を言う自由はある。コロナの状況が非常に厳しい中、パラ開催を反対する意見があることは認めます」。橋本氏は「厳しい声があることは理解しているし、(開催を理解してもらえるための)努力する姿勢に変わってきたのも事実」と話した。

パーソンズ氏は万が一、中止になった場合、パラリンピックムーブメント(世の中での動き)はどうなっていたか問われると「財政的に厳しい状況になっていたと思う。パラリンピックプログラムを実施する各国を支援する能力に、深刻な影響を与えていたと思う」と、財政難から来る影響を推測した。