東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長(78)は6日、開催を終えた大会の決算が来年4月以降になるとの認識を示した。

都内のメインプレスセンター(MPC)で総括会見を開き、事後処理について「まずは仮設施設の取り壊し、お借りした会場の原状回復を行う。比較的早いものもあるが、来年3月ぐらいまでかかるものもある。少なくとも、そこまでは(収支が)確定しない。しかし、決算の大枠を決めることは年度末まで待つことなくやらないと、間に合わなくなるかもしれない。ほかにも記録の保管、調達した物の処分など諸問題はあるが、おそらく決算は来年の4月以降にならざるを得ないと思う。あまり時間はかけないように努力したい」と説明した。

開幕直前に、五輪のごく一部の会場を除いて無観客開催となったことで、約900億円を見込んでいたチケット収入が、ほぼなくなった。武藤氏は7月に「何十億円」に激減することを示唆していたが、この日は「まずは歳入、歳出を詰めて収支差額がどうなるか数字が出てきてからでないと(赤字の)規模感も申し上げられない。収支が整わないということになれば、東京都、政府との3者で意見交換しながら解決策を見いだしていきたい」とした。

開催都市契約では、組織委の収入に対して支出が上回った場合、補てんは東京都がすることになっている。「それが基本になることは間違いないが、実際どうなるかは話し合いをして決まる。その結果を見ないと結論を申し上げることは難しい」と述べた。

13年9月7日の招致決定を受け、翌14年1月に武藤事務総長ら職員44人で発足した組織委。その数は、1年の延期をへて大会を迎えた今夏、約7000人の大所帯になった。祭典を終え「10月に1100人程度まで縮小される」ことが決まっており、残されたスタッフには「来年4月以降」という決算へ、山積する課題が待っている。

組織委が会計など残務処理で存続するのは大会後の慣例だが、橋本聖子会長の4月の発言によると、最終的に「来年6月まで存続する」見通しとなっている。