アーティスティックスイミング(AS)が始まった。デュエットフリールーティン(FR)予選で、日本の乾友紀子(30=井村ク)吉田萌(26=ザ・クラブピア88)組は、ミスもあって93・9333点の4位発進となった。大事な五輪最初の演技で、順位はロシア、中国、ウクライナ、日本となった。メダル獲得のためには、19年世界選手権と同じ「世界4位」の位置付けを破壊するしかない。

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「世界4位」の序列は変わらなかった。五輪最初の演技で2人の高さがわずかに乱れた。93・9333点に、井村ヘッドコーチ(HC)は「吉田が中盤、後半に体が浮かなかった。94点以上を狙っていたので少し足らなかった」。ターゲットの3位ウクライナとの1点差は微差とはいえない。

エース乾以外は全員が初の五輪。吉田は「いつも出る時に(井村)先生が声をかけてくれるが、耳に入ってこないぐらい緊張した」。ただそんな中でも足技は勢いよく、やりきった。

日本は19年世界選手権で「世界4位」。昨年はコロナ禍で国際大会がなく、格付けを覆す機会がなかった。乾も「19年の印象がどこかに残っていると思う」。1本目の演技で、今大会の流れを引き寄せる狙いだったが、かなわなかった。

ただこれですべてが終わるわけではない。この日はあくまで予選。デュエットのメダルを争う得点とは無関係でもある。井村HCは「徐々に風向きを変えていくのが目標」。乾も「最初からはうまくはいかないと覚悟して臨んだ。頭を切り替えたい」。一足飛びに序列を壊せなくても、大会期間を使って、粘り強く迫っていく。【益田一弘】