17、18年世界選手権覇者の須崎優衣(22=早大)が金メダルを手にした。決勝で孫亜楠(中国)に10-0でテクニカルフォール勝ちした。開会式では旗手も務めた「東京五輪の申し子」。1度は出場が絶望視された舞台で、14年から海外勢負けなしの強さを証明した。悲願の金メダルを獲得し「今の自分があるのは自分に関わってくれた全ての人のおかげ。本当に夢みたいです」と感謝の言葉を並べた。

23日の開会式では、バスケットボールの八村塁と選手団の旗手を務めた。153センチの小さな体でしっかりと日の丸国旗を掲げ、閉会後に引き上げる日本選手団で、最後まで聖火を見続けた。「金メダルを獲得するという目標に向かって8年間目指してきたので、目標の舞台で試合をさせていただけることに心から感謝しています。ここまできたら目標の舞台を思いっきり楽しみ、レスリングを楽しんで、私らしく強気で自分から攻めるレスリングで、絶対に金メダルを勝ち取りたいと思います」。固く誓っていた。

中2で日本オリンピック委員会(JOC)が寄宿制で有望選手を育てるエリートアカデミーに入校。東京五輪開催が決まると、日本協会から東京五輪の強化選手にただ1人、中学生で選ばれた。

19年6月、東京五輪の内定がかかった世界選手権代表を決めるプレーオフで敗れた。自力が消滅し、どん底まで落ちた。周囲の励ましに、練習を再開したのは3日後。「0・01%の可能性でも信じてやる」と気持ちを奮い立たせた。

世界選手権でライバルの入江が五輪切符を逃し、その後の国内選考で雪辱を果たすと、自力出場の可能性が復活。コロナ禍の1年延長をへて、4月のアジア予選で東京行きを決めていた。

道は順調ではなかった。挫折も味わった。その先に、目指し続けてきた舞台の頂点が待っていた。

<須崎の得点経過>

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1分7秒 須崎が孫のバックを取って2得点。

1分23秒 須崎がローリングを決めて2得点。

1分25秒 須崎がローリングを決めて2得点。

1分30秒 須崎がローリングを決めて2得点。

1分34秒 須崎がローリングを決めて2得点。10点差がつきテクニカルフォール勝ち。