さらばミスターセンタープール! SG3冠、G1・11度Vで長く兵庫支部の大看板として活躍してきた魚谷智之(49=兵庫)が電撃引退することが分かった。16日まで出走した地元の尼崎一般戦がラストラン。29年7カ月のボートレーサー人生にピリオドを打った。

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“心の同期生”電撃引退の一報で、心にぽっかり穴が開いた。95年、阪神大震災で大混乱の中、彼はボートレーサーとしてデビュー。ボートレース取材を志した私も同じ年、記者になった。まだ50歳にもなっていない。まして現在もシリーズの主役を張れるA1級。ただ「まだやれるのに…」というのは、はた目の勝手な思い。今は彼らしい、去り際の美学を尊重したい。

彼をひと言で表現するなら「求道者」だろう。とにかく練習量はデビュー当初から桁違いだった。あっせんがない日は毎日のようにセンタープールへ通い、一目散に水面へ飛び出した。寒い中で何度も何度も転覆しながら、一心不乱に理想のターンを追求し続けた。びしょぬれの背中から不屈の闘志と思える湯気がたちこめていた。レースでもピット内の所作でもぶれない芯がある男だった。きっとレーサーを辞めた後も、何かを極めるために目を輝かせて生き続ける、そんな気がする。【鎌田優】