J3からJ2、J1へとステップアップを遂げた苦労人のサッカー人生を象徴するような記録か。J1アルビレックス新潟のFW谷口海斗(27)が3日、アウェーの湘南ベルマーレ戦(2-2)で自身J1初の1試合2得点を挙げた。熊本時代の20年にJ3得点王に輝いた点取り屋は、1試合複数得点をJ3で8度、新潟加入後はJ2で3度。Jリーグの全カテゴリーで「マルチゴール」はブラジル人FWレオナルド(J3鳥取→J2新潟→J1浦和)が記録して以来、史上4人目の珍しいケースだ。

18年にアマチュア契約でJ3盛岡に入団し、ホテルマンと選手を兼務した。努力を重ねてたどり着いたJ1の舞台。ルヴァン杯では4月のアウェーの柏戦で1得点を挙げていたものの、リーグ戦では2月の開幕節C大阪戦を最後にゴールから遠ざかっていた。

前線から相手を追う献身的なプレーや味方を生かす動きは目立っていた一方で、肝心のゴールがなく、そもそもシュート自体が少なかった。それが今回の湘南戦では両チーム最多タイとなる3本のシュートを放って2得点。1試合のシュート数としてはJ1初出場で初ゴールを挙げた開幕戦以来の多さだった。

前半30分、MF伊藤のスルーパスに体を反転させて右足でねじ込んだ。このゴールを見る限り、体のキレも戻ってきた印象。試合は引き分けに終わり「FWとしてはもう1点取って勝たせたかった」。今季公式戦の得点試合でチームは2分け1敗。次こそは勝利につながるゴールが期待される。【石川秀和】

湘南対新潟 前半、ゴールを決める新潟谷口(2023年6月3日撮影)
湘南対新潟 前半、ゴールを決める新潟谷口(2023年6月3日撮影)
湘南対新潟 後半、ルーズボールに飛び込み2点目のゴールを決める新潟谷口(左)(2023年6月3日撮影)
湘南対新潟 後半、ルーズボールに飛び込み2点目のゴールを決める新潟谷口(左)(2023年6月3日撮影)