先発が発表されると同時に、その布陣が分かるようになっている。

J1アルビレックス新潟の基本システムは4-2-3-1。その公式リストは試合開始の約2時間前に配られるが、一番上がGKで、DFの4人が登録ポジションに関係なく、右サイドから順に並べられる。MFはまずボランチの2人、2列目の3人が右から順に記され、最後にFWとなる。だが、今季の公式戦で、その定型と大きく異なる試合があった。

5月24日のルヴァン杯1次リーグ、ホームでの福岡戦。スタメンリストのDF4人は上から長谷川、デン、田上、渡辺だった。リーグ戦でこの4人がそろって先発する機会は少ないが、その並びは想像でき、渡辺泰基(24)が主戦場の左サイドバック(SB)に入ると思われた。

だが、試合が始まると渡辺がセンターバック(CB)で田上が左SB。2人がそれぞれ本職とは逆の位置でプレーした。試合は1-2で逆転負けを喫したが、渡辺は左利きのCBとして新境地を開いた。右利きのCBとは違った角度からパスを出し、後方から攻撃を組み立てた。

そして直近の6月18日、ルヴァン杯1次リーグ鹿島戦。DFのリストは藤原、デン、渡辺、田上の順だった。渡辺は相手のエースFW鈴木のシュートをブロックするなどCBとしての役割をこなしつつ、後半5分にはMF小見へ絶妙なスルーパスを通して決定機の起点になった。このリストの通り、渡辺の左CBも板についてきた。

新潟市出身。180センチ、75キロ。クラブの下部組織で育成年代をすごしたことを示す「HG」(ホームグロウン選手)の2文字も誇らしい。世界的に見ても、元イタリア代表DFマルディーニなど左SBからCBに転向して成功した例は多数ある。新潟のセンターバックは千葉が37歳、舞行龍が34歳。失点減少へ。24歳の生え抜きにかかる期待は大きい。【石川秀和】