またジャイアントキリングだね。良かったよ。これしかない。

ドイツ戦と同じで、自分より上のチームとやるにはこの戦い方しかない。6月の親善試合でもブラジルに0-1で負けたけど、ブロックをつくって最少失点に抑えていたからね。

ブロックをつくって、守って、守って、守って、少ないチャンスをものにするという戦術がはまっている。相手のスペインも足元でボールを受けるサッカーで、スピードがないのも幸いしたね。ヘディングの強い選手がいないのも日本にとっては有利に働いた。

スペインはチャンスはつくっていたけど、なかなか点を決められなかった。あれくらい11人がペナルティーエリアの方に引いたら簡単には点は取られない。この戦い方がひとつの日本のサッカー文化じゃないかな。守って、チャレンジというね。

今日もまた堂安がいいところで良いシュートを決めた。そして守りの選手たちが頑張った。権田もファインセーブがあったし。守り重視のサッカーでは誰が良かったということではなく全員の貢献が大事。ケガ人などいろいろあったが、それを乗り越えた。センターバックを4人くらいいれて、台所事情を含めて守るサッカーがうまくいった。

金星2つで、今度は決勝トーナメント1回戦でクロアチアと戦う。本当はモロッコの方が良かったけど、ベスト8へ向けてまた壁が続くね。ドイツ、スペイン、クロアチアと3つも金星が続くのかという不安はある。そこを勝たないと初のベスト8には行けないわけだから。クロアチア戦の勝負のカギはコンディションだろう。今日の試合でかなり消耗しているから。

ただ、これほど守って勝つようなサッカーではジャイアントキリングはできても、自分たちが「ジャイアント」とは言えないな。いずれジャイアントキリングをされる側になってほしいけど、それにはほど遠いと思う。

まあ次の試合もこの作戦でいかなかったら勝つのは無理だ。ここまでドイツに勝ち、スペインに勝った。でもベスト8に行けなければ、ただの良い思い出で終わってしまう。勝って歴史をつくってほしいな。(日刊スポーツ評論家)

日本対スペイン 決勝トーナメント進出を果たし歓喜する日本代表イレブン(撮影・横山健太)
日本対スペイン 決勝トーナメント進出を果たし歓喜する日本代表イレブン(撮影・横山健太)