ワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本代表が2大会ぶりに決勝トーナメントに進出した。下馬評を覆す活躍に、日本中が熱狂した。3月の開幕以来、熱戦が繰り広げられていたJ1のリーグ戦もひと休み。15日にW杯決勝が行われ、18日から再び再開する。

 日本にとって6度目のW杯。98年フランス大会から14年ブラジル大会まで絶えず日本代表へ選手を送り出してきた横浜F・マリノスは、今大会で初めて日本人の招集選手がいなかった。DFミロシュ・デゲネク(24)がオーストラリア代表としてW杯メンバーに選ばれたが、残念ながら最後まで出場機会がないまま、チームは1次リーグで敗退した。

 今の横浜は、世代交代を進めながら、かつての栄光を取り戻そうと動いている。そんな中で迎えた中断期間で、横浜はファン感謝祭「トリコロールフェスタ」を開催した。母国からの帰国が遅れていたFWウーゴ・ヴィエイラ(29)やU-19日本代表のロシア遠征メンバーに選ばれたMF山田康太(18)、堀研太(19)らを除き、全ての選手が参加した。このイベントでも、世代交代の動きが見えた。

 毎年の同イベントでは、DF中沢佑二(40)や、ここ5年連続で選手会長を務めるMF中町公祐(32)らが中心となり、モノマネなどを行って盛り上げてきた。しかし、今年は若手選手とスタッフらが話し合って新たな試みを考案。選手がスタッフとなって運営する射的や輪投げなど縁日風の催しのほか、メインイベントとしてDF中沢が審判長を務める「F・マリノス運動会」を開催した。チームの中盤を支えるMF天野純(26)とMF扇原貴宏(26)がそれぞれ紅白のチームリーダーを任されていたのも象徴的だった。イベントは大盛況に終わり、サポーターの反応も良かった。

 ベテランの多い横浜だが、近年はユースからの生え抜きや、若手の有望株を次々と獲得し、世代交代を進めてきた。両サイドバックにはDF山中亮輔(25)、松原健(25)がおり、中盤には天野や扇原、ユース出身のMF喜田拓也(23)、そして同じく生え抜きの東京五輪世代のMF遠藤渓太(20)もいる。今年はロンドン五輪にも出場したMF大津祐樹(28)らも獲得し、山田ら楽しみな若手も多い。

 選手はもちろん今回のW杯も見ている。天野は今回の日本の活躍に刺激を受けたといい「しっかり結果を残してくれたので、さすがだなと思いました。結果が全てなので、批判されてきても勝てば温かい声援がもらえる。そういうのは厳しさだし、そこを国民にみせてくれて頼もしかった」と話した。

 これまで横浜からは、98年フランス大会にGK川口能活(現J3相模原)、DF井原正巳、DF小村徳男、FW城彰二、02年日韓大会にDF松田直樹、06年ドイツ大会にDF中沢、10年南アフリカ大会にDF中沢、MF中村俊輔(現磐田)、14年ブラジル大会にMF斎藤学(現川崎F)を送り出た。その多くが代表の中心として活躍した。世代交代を進め、4年後のカタール大会では、きっとまた横浜からW杯で輝く選手が出てくるだろう。

 ◆松尾幸之介(まつお・こうのすけ) 1992年(平4)5月14日、大分県大分市生まれ。中学、高校はサッカー部。中学時は陸上部の活動も行い、全国都道府県対抗男子駅伝競走大会やジュニアオリンピックなどに出場。趣味は温泉めぐり。