日本の自力突破が消滅した。4大会連続となるリオデジャネイロ五輪出場を目指す女子代表なでしこジャパン(FIFAランキング4位)が、韓国(同18位)と1-1で引き分け。後半25分にGK福元美穂(32=岡山湯郷)がPKを止め、同39分にFW岩渕真奈(22=Bミュンヘン)が先制点。初勝利をつかんだかに見えたが、その3分後に同点弾を浴びた。2試合を終えて勝ち点1の5位。1戦も落とせなくなった状況で、明日4日に中国(同17位)と対戦する。

 元女王と思えない戦いがホームで続く。後半39分にようやく1点をリードしてから、3分後、韓国に軽々と同点ゴールを奪われた。MF張のロングボールをGK福元がファンブル。こぼれ球をFW鄭に右足で押し込まれ、勝ち点3が一瞬で1に変わった。昨年、W杯史上初の「1点差勝ち5試合」を遂げたチームが明らかに弱体化している。「得点した後の集中力と勝負強さが足りない」。昨季限りで引退した澤さんのコメントが、テレビ越しに寂しく響いた。

 勝ちにいって勝てなくなった。1-3で落とした初戦オーストラリア戦から、佐々木監督は先発6人を入れ替え。「本当に勝負にいった」という采配は、最初は当たった。韓国戦2戦2勝で、12年ロンドン五輪の正GK福元を起用。0-0の後半25分に大仕事で応えてくれた。DF近賀のハンドで与えたPKを左に横っ跳び。INAC神戸で13年まで3年間プレーした韓国FW池が狙ったコースを対戦経験で読み切った。途中出場のFW岩渕も一時は勝ち越しとなる点を奪った。

 ところが、かつての安定感がない。同点弾を許した場面は、打って変わって福元のミス。生命線の意思疎通に失敗し「クマ(DF熊谷)に任せても良かったかも。ラストなので(ボール)をつかみにいったけど、パンチでも良かった」。岩渕も後半ロスタイムにGKと1対1になったが、シュートを打ち切れなかった。

 前日2度のミーティングを行い、指揮官は「反省は自分たちの中にある」と原点回帰を訴えた。持ち前のパスワークが復活してシュート数は15対4と圧倒したが、百戦錬磨の監督すら詰めを欠いた。「最後は最終ラインを5枚にして、役割をハッキリさせることも考えていたが…。僕の反省、責任です。すいません、期待に沿えず…」。記者会見では自分から頭を下げた。

 リオへの道は、またも横道にそれた。自力突破が消え、残り3戦を全勝しても勝ち点10。前回予選のデッドライン(同11)に届かないことが2戦目にして確定した。出場2枠を争う中、既にオーストラリアと韓国を自力では上回れない。足は徳俵、首は皮1枚。本当に、リオ五輪に出られないかもしれない。【木下淳】

 ◆大会方式 日本、オーストラリア、韓国、中国、ベトナム、北朝鮮の計6カ国が参加。総当たりで、上位2カ国がリオ五輪出場権を獲得する。順位決定は勝ち点、得失点差、総得点の順。大阪市長居公園にあるヤンマーと金鳥スタで行われ、日本戦はすべて金鳥スタで開催される。

 ◆最終予選の行方 日本は韓国と引き分けて、1分け1敗で勝ち点1。順位は5位のまま。首位のオーストラリアは今予選のFIFAランク最下位のベトナムに9-0で圧勝し勝ち点を6に伸ばした。2位の中国は北朝鮮と引き分けて勝ち点は4。日本としては次節4日の中国戦が極めて重要な一戦となる。

 日本は残り3試合に全勝すると勝ち点は10。現在2位の中国は4日の日本戦以外の残り2試合に勝つと同10。両国は勝ち点10で並ぶ。その場合、得失点差、総得点の順で順位を決める。

 中国は現在最下位のベトナムに2-0の2点差勝ちだったが、日本はその格下と思われるベトナムとの対戦(7日)を残す。ここで大量得点差での勝利が期待できると考えると、中国と勝ち点で並んでも、得失点差で上回れる可能性は高い。