【ジッダ(サウジアラビア)4日】ハリルジャパンのロシアロード、第3章の幕が開く。8月31日のオーストラリア戦で18年W杯ロシア大会出場を決めた日本は5日(日本時間6日)、アジア最終予選最終戦でサウジアラビアと対戦する。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)はこの一戦から先をチーム作りの「第3章」と位置付け、W杯で世界を驚かせる準備に入る。消化試合だが、DFラインを中心に主力級を多数先発起用する“ガチ布陣”で臨む見通しだ。この日は記者会見と公式練習が行われた。

 ちょうど1年前に、解任の文字が飛び交っていた。昨日のことのように、今はっきりと思い出すことができる-。第2章の幕開けだった昨年9月の最終予選初戦。ホームでUAEにまさかの敗戦を喫した。続くイラク戦に向け、ハリルホジッチ監督の進退が取り沙汰されていた時期だ。

 あれから1年。オーストラリア戦に勝ってW杯出場を決め、余裕を持ってサウジアラビアにやって来た。チームには勝者の余裕と充実感が漂う。試合前日の公式会見で指揮官は「今のグループの状態に満足している」とした上で、この最終戦の意義を語った。「我々はどこの国に行っても勝利を求めて戦っている。野心を持って。雰囲気も環境もかなり“熱い”ものになる。これは本大会に向け、素晴らしいテストになる」。

 ここから本大会までの準備期間を「第3章」と定義している。チーム作りの中で「最も厳しい、最も難しい」と語る時期。確かな芽が出た世代交代を一気に推し進めるのか、本田、岡崎ら北京五輪世代の奮起をうながしつつ見極める。2日の会見では「今現在、本日のチーム状況ではW杯では結果を残せない」と言い切ってもいる。サウジアラビアはW杯出場権獲得をかけ、死に物狂いで向かってくる。貴重な実戦、真剣勝負のテスト機会となる。

 指揮官は最終ラインを中心に、主力級の多い“ガチ布陣”で送り出すことが濃厚だ。前線は3トップの中央に岡崎、右に本田、左に原口と第2章序盤の主力を並べる見込み。一方、中盤には井手口や柴崎ら、第3章で期待を寄せる2人を組み込むことも。GK川島は「今までの監督の言ってること、行動を考えれば(W杯に)呼ばれることは(誰も)保証されてない」と危機感を口にする。イスラム教の聖地メッカへと続くジッダの地で第3章、新たな物語の幕が開く。なんでもないような夜にはしたくない。確かな手応えがほしい。【八反誠】

<W杯ロード第1、2章終わって第3章「生存競争」>

 ▼ハリル第1章「格下に」 W杯アジア2次予選の初戦から始まる。15年6月16日、当時FIFAランク52位の日本はホームで同154位シンガポールに0-0で引き分け。日本がW杯に初出場した98年以降、W杯予選の初戦で勝てなかったのは初めて。

 ▼ハリル第2章「茨の道」 W杯アジア最終予選からスタート。初戦のUAE戦はホームで1-2と敗戦。アジア最終予選がホームアンドアウェー方式となった98年フランス大会以降、黒星スタートでW杯に出場した例はなかったが、8月31日のオーストラリア戦勝利でジンクスを破った。