【アルアイン(UAE)27日】日本(FIFAランキング50位)が今日28日、アジア杯準決勝イラン(同29位)戦を迎える。FW大迫勇也(28=ブレーメン)は先発復帰が確実。得点した試合で7勝2分けの不敗神話を持つ男が、対アジアの公式戦39試合負けなしを誇る難敵に挑む。相手FWサルダル・アズムン(24=ルビン)とのエース対決も制し、2大会ぶりの決勝に導く。チームは試合会場で公式会見、練習を行った。

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半端ない堅守を破る。イラン戦へ大迫が最終調整した。全体を見守るようにジョギングで最後方を走り、芝の感触を確かめながらボール回し。全5試合で完封している相手の守備網を切り裂くイメージを、大一番の試合会場で膨らませた。

「半端ないって」が生まれた試合もそうだった。08年度の全国高校選手権準々決勝・滝川二戦で、それまで無失点だった相手に2得点2アシスト。その時の映像を基に、女子テニス全豪オープンを制した大坂なおみの日清食品CM「大坂、半端ないって」編が作られた。今度はイランが続けるゼロ行進を止め、初のアジア杯で次の伝説をつくる。

その準決勝では、2得点した初戦トルクメニスタン戦以来5戦ぶりの先発復帰が確実。右臀部(でんぶ)痛で戦列を離れたが、準々決勝ベトナム戦の後半27分から復帰すると、一気に攻撃の連動性が上がった。仲間も証言する。DF長友が「大迫が生み出す1秒、2秒で周りはスペースに飛び出していける」と言えば、MF柴崎も「彼のキープ力は日本の武器。時にはドリブルで3秒、4秒をつくってくれる。正直、ほかのFWとはレベルが違う」と絶賛。大迫が最前線に戻るだけで半端ない補強になる。

イランが対アジア公式戦39戦無敗を続ける一方、大迫が得点した試合はW杯を含めても9戦不敗。相手FWアズムンとはエース対決の様相だ。今大会、若手に奮起を促した以外は「頑張ります」しか発さない大迫を代弁し、長友が「20番(アズムン)は(元ブラジル代表)カカみたい。足も速くてゴールも狙えてパスも出せる。その20番と大迫はアジアで抜けている」。森保ジャパン最多タイ4発の大迫が、決勝切符とアジア杯NO・1ストライカーの称号をつかむ。【木下淳】