【バンコク11日=杉山理紗】GK大迫敬介(20=サンフレッチェ広島)が、絶体絶命の日本を救う。U-23アジア選手権に出場している同日本代表は12日、同シリア代表との第2戦に臨む。

敗れたら即1次リーグ敗退が決まる重要な一戦。サウジアラビアとの第1戦でもビッグセーブを連発した若き守護神が、最後尾から日本をアジアの頂点へ押し上げる。

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シリア戦を翌日に控え、最終調整のため練習場に入る大迫の目は戦闘モードに切り替わっていた。負ければ即1次リーグ敗退とプレッシャーのかかる一戦も「選手同士で課題を話し合えている。引きずらず、次の試合に切り替えられている」と不安を一蹴。「シリアは前からガンガン来ると思う。引きすぎず、自分たちのペースで試合を進めるのが大事」と冷静にポイントを整理した。

初戦のMVPは間違いなく大迫だった。DFに当たり軌道が変わったボールを脅威の反射神経でセーブすれば、高めを狙った強烈なシュートは右手1本で阻止。酷暑の中でもパフォーマンスを維持できるのは、日本にいるときから今大会を見据えて厚着でトレーニングをする、サウナに通うなど独自の暑熱対策を講じてきたからだ。「あまりサウナは得意ではないけど、ここで良いパフォーマンスを出すためと考えれば、少なからずやっておくべきかなと思った」。照れ笑いの裏には、アジア王者への熱い思いが見える。

19年は広島で正GKの座を奪った。「試合に絡んで、そこを評価されてここに来ていると思う」と、今大会に選出されたGK3人で唯一、所属チームで定位置を確保している。ケガさえなければ五輪代表選出も堅いが「全然確定していないと思う。何があるか分からない世界なので、気を抜かず自分自身にフォーカスしてやっていく」と冷静だ。

こだわりは無失点。「ゼロに抑えることで勝ち点を拾っていける。GKとしては無失点にこだわりたい」と、トーナメントにおける勝ち点1の重要性を理解する。「耐えればFWが点を取ってくれる」。頼もしい20歳が最後のとりでを守り、日本の窮地を救う。