日本代表FW大迫勇也(30=ブレーメン)は、この一戦に全てを懸ける-。国際親善試合カメルーン戦(9日、ユトレヒト)前日の8日、森保ジャパンはオランダ・アーネム近郊で最終調整を行った。所属チームの都合で1試合のみの参加となる大迫は、直近のリーグ戦で90分間ベンチを温め続けるなど、苦難の時を過ごしている。オンライン取材では「ゴール」と強調して、有言実行の復活を誓った。

   ◇    ◇    ◇

クールな大迫が、約6分の取材で3度「ゴール」と口にした。1年1カ月ぶりの代表活動に、それだけ強い気持ちで臨んでいる。所属チームでは今季、公式戦4試合中2試合に先発したが、いずれもハーフタイムに退いた。交代時にはそれを歓迎するかのように拍手が起こるなど、あの“半端ない”男がもがいている。試合のテーマを聞かれると、大迫は「ゴールを取る、目に見えることが、コンディションも上がるし、周りの評価も変わると思う。しっかりと突き詰めていきたい」。信念に満ちた目で、はっきりと言い切った。

ユトレヒトには自ら志願してやって来た。同所はブレーメンの保健当局から新型コロナウイルス感染リスクの高いエリアに指定されており、ドイツ帰国後は5日間の自主隔離が求められる。17日にリーグ戦を控えるクラブは大迫の派遣に難色を示していたが、大迫自身が代表活動への強い思いを訴えたという。本人は「代表チームと所属チームの話し合いの結果で、それ以上のこともない。与えられたところでプレーするだけなので」とクールに振る舞ったが、オランダ入りの裏には熱い思いがある。

直近で参加した代表活動は、昨年9月のW杯アジア2次予選。クラブでは2列目での起用が多く、1トップで出場する日本代表でのプレーには1年以上のブランクがあるが、「期間は空いたけど、代表でのプレーのイメージは常に持っているし、準備はできている」と自信をのぞかせた。日本代表の国際Aマッチは296日ぶりで、代表戦が9カ月以上なかったのは約28年ぶりのこと。日本中が注目する一戦で、半端ないゴールを決めてみせる。【杉山理紗】