オナイウ阿道は埼玉・正智深谷高3年の時、インターハイで全国3位に輝いた。同高の小島時和監督は、準々決勝の星稜戦を「阿道劇場だった」と懐かしむ。相手GKの手を伸ばした上からヘディング弾を決め、40メートルのドリブル突破などで2得点2アシストと大暴れ。中学、高校で県選抜に選ばれたことはなかったが、Jの評価は高く複数クラブからスカウトされた。学業も優秀でスポーツクラスの中で3年間通してトップ。Jクラブの練習に参加した際は「試験前なので」と勉強用具一式を持参し、「こんな選手は初めて」と驚かれた。

ジャンプ力が際立ち、高校のバレーボールの授業では、ジャンプしただけで2メートル30センチのネットの上に顔が出た。“初心者”だがブロック、スパイクもこなし、担任だったバレーボール部監督が「バレー部にスカウトしたい」と思ったほど。首の太さもラガーマンのように太く、今も後輩の正智深谷の選手たちは「阿道さんのような首になる!」と3点倒立で首を鍛えているという。

日本代表で初先発し、ハットトリックの大活躍。小島監督は「チームが苦しいときに、個人技で驚く得点を決めてくれたのを思い出しました。3点取るのはスゴイ! 代表で阿道劇場ですね」と興奮気味だった。【岩田千代巳】

◆オナイウ阿道(あど) 1995年(平7)11月8日、埼玉県神川町生まれ。ナイジェリア人の父アダムスさんと日本人の母園子さんの間に生まれ、小学2年の時に神川パルフェで競技を始める。FCコルージャ-正智深谷高。3年時の全国高校総体3位。選手権は2年時に出場。14年に千葉入り。その後、浦和、J2山口、大分でプレーし、20年に横浜へ。今季J1でリーグ3位の10得点(16試合)。J1通算72試合24得点、J2通算104試合32得点。19年に日本代表初招集。今月11日のセルビア戦で国際Aマッチデビュー。家族は妻と2女。180センチ、75キロ。