日本(FIFAランキング26位)がサウジアラビア(同56位)に0-1と、痛恨の黒星を喫した。主将のDF吉田麻也(33=サンプドリア)が、代表引退の覚悟を口にした。早くもW杯アジア最終予選で2敗を喫し、7大会連続のW杯出場に黄信号が灯った。試合後には「結果が出なければ協会、監督、選手も責任を取る覚悟」と代表活動を辞する意向を明かした。珍しく相手サポーターに激高する場面もあった。屈辱の敗戦を糧に、12日のオーストラリア戦は勝つしかない。
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こんな屈辱はなかった。試合終了直後、取材エリアに向かった吉田に、スタンドの相手サポーターからあざけ笑う声が飛び交った。吉田はサポーターの差別的なジェスチャーに反応し、鬼の形相でスタンドへ駆け寄った。日本のスタッフに制せられバックヤードに引き返したが、ここまで怒りをあらわにするのは異例。差別の内容については明かさず、「インタビューも選手の仕事の1つ」と、再び取材エリアに戻ると自身の覚悟を口にした。
吉田 まだ終わってない。その時に結果が出てなければ協会、監督、選手も責任を取る覚悟はできている。終わってから判断してもらえばいいと思う。
責任の真意について吉田は、代表チームで監督や組織が変われば選手も変わることを挙げ、こう続けた。「もし予選敗退して、チーム活動が終わればがらっと入れ替わることになる。自分自身もそこが区切り。そんなふがいない結果になってしまったらすっぱり辞めようと思っている」と代表引退を明言した。
W杯ロシア大会のアジア最終予選は全10試合を2敗で終えた。今回は3試合消化で、早くもデッドライン。10月シリーズを「取り返すチャンスが来る」と意気込んでいたが、逆に差を広げられただけ。SNSで「予選敗退」がトレンドワードにもなり、サポーターも今までにない危機感を抱いている。
しかしまだ戦いは続く。吉田は「前回も2敗。つまり2敗まではできるとポジティブに考えてやっていかないといけない」と懸命に前を向く。1位突破は難しくなった。「この負けで2位に入ればいいというマインドでいる。1位でも2位でもW杯はW杯」と現実をみつめた。12日にはホームでのオーストラリア戦が控える。「いいチームはここから盛り返せるチーム。チャンスはまだあると思う。ここから大ジャンプはない。1つ1つ、丁寧に勝っていかないといけない」。残り7試合。ショッキングな敗戦を乗り越え、サムライブルーの底力で逆転切符を狙うしかない。【岩田千代巳】
◆W杯アジア最終予選 A、B組各6チームの2位までがW杯出場権を獲得。各組3位同士が一発勝負のアジアプレーオフ(PO)を22年5月か6月に行い、勝者が大陸間POに回る。大陸間POは北中米カリブ海最終予選4位、南米予選5位、オセアニア予選の勝者と4チームが参加。そのうちの2チームがホームアンドアウェー方式で対戦し、勝者がW杯の出場権を得る予定となっている。前回ロシア大会はアジアからオーストラリアが大陸間POに出場し、ホンジュラス(北中米カリブ海)に2戦合計3-1で勝ってW杯切符を手にした。

