横浜MF中村俊輔(38)が磐田に移籍することが8日、両クラブから発表された。背番号は「10」で、関係者によると契約期間は2年だという。中村はこの日、横浜市内で取材対応した。黒のスーツで姿を見せた中村は「マリノスのサポーターの方の前で報告したかった。タイミングが合わなかった。申し訳ないし心残り」とした上で、「サッカーは楽しんだり練習したことを試合に出して、うまくいかなかったことを見直して次の試合まで上達を目指す…そのサイクルに戻りたい。純粋にボールを追っ掛けたい」と移籍の理由を明かした。

 横浜は、14年からイングランドの強豪マンチェスター・シティーを傘下に置くシティー・フットボール・グループと資本提携を結び、その影響力が大きくなった。特に今季は、クラブが急激な若返りを図り、DF小林の戦力外、DF中沢への年俸半額提示と激震が走った。練習環境面ではクラブハウスがなくなり、横浜市内のグラウンドを転々とする日もあった。求心力のないモンバエルツ監督の続投も決まり、選手から不満の声も漏れていた。

 選手として、主将として「このままでは」と提言してきた。特に、横浜の長谷川亨社長(58)は、選手の生の声を聞くべく中村と何度も会談した。中村は「僕らの声を聞いてくれたのはありがたかった。お互いが理解し合いながらやれたのは大きいし、正直にいろんな話をしてくださった」と長谷川社長への感謝を口にした。だが「これは違う、と言ったことが変わらなかったりしたら、その繰り返しは何なのかと。毎日、それが違うんじゃないか…と。そんなことは普通、ないこと。それに対応しきれなくなって、いろんなバランスが崩れていった」と苦しい心境を吐露した。