ベガルタ仙台は10日、宮崎市のシーガイア多目的グラウンドでサンフレッチェ広島と練習試合(90分×2)を行い、主力同士が出場した1試合目を1-0で勝利した。FW石原直樹(33)、MF野津田岳人(23)のホットラインで右サイドを崩すと最後はフリーとなった阿部拓馬(30)が今キャンプ4得点目を右足で押し込んだ。25日の開幕まで2週間と迫り、最後の公開練習試合で理想とする攻撃パターンからゴールを生んだ。練習生も入った2試合目は0-5で敗れた。
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流れるように、動いた。石原とのワンツーで右サイドに流れた野津田は、相手DFの水本裕貴(32)が寄せきる前に、阿部の足元にグラウンダーのピンポイントクロスを供給した。フリーで受けた阿部が、迷うことなくダイレクトで右足を振り抜くと、ボールはゴールネットに突き刺さった。昨季後半から機能し、攻撃の軸となった石原-野津田のホットラインが、古巣を相手に爪痕を残した。ゴールを決めた阿部は「岳が直さんとのワンツーから、うまくボールを入れてくれた。狙い通りにうまくできた。動きの質を高めてFWが絡んでああいうシーンを増やしたい」。開幕へ向け連係面での手応えを口にした。
石原はシュートこそなかったがプレーエリアを広げて奮闘。最終ライン付近までボールを受けに下りてきて、そこから前を向き攻撃の起点となった。2本のミドルシュートで相手を脅かした野津田は「チャンスでもう1点決められなかったが、シュートで終わる、攻撃をやりきるところはできた。3人目で自分が抜けるあの形は自分としては理想」と連係に自信を見せた。
3-4-3にシステム変更して2年目を迎える。渡辺晋監督(44)は昨年キャンプでの戦術の成熟度と「比べものにならない」と、手応えを強く感じている。「無失点は素晴らしいが、もう1、2点入れて締めくくることができた。もっと早く相手の穴に気が付いて、フリーの人間にボールを預けることができれば優位性が保てたと思う。相手が怖がるところにもっと走って、ああいうゴールシーンがもっと出てくれば」とさらなる上積みに期待した。今日11日から宮崎・青島で第3次キャンプに突入。流れる攻めにさらなる磨きをかける。【下田雄一】