アルビレックス新潟のMF戸嶋祥郎(22)は「感謝」を信条にプロの世界に飛び込み、開幕に備える。サッカーができる環境、自分が置かれた状況をありがたく思い、努力を怠らない。豊富な運動量をベースにしたプレースタイルも高知、御前崎の両キャンプを通して磨きをかけた。J1復帰に貢献することが、ファンへ今季最高の感謝になると意識している。

 緊張はない。「サッカーだけに集中できる最高の環境です」。戸嶋は感謝の念を持ちながら、初のキャンプを過ごしている。

 練習試合は右サイドハーフ、ボランチで出場を重ねてきた。「周囲が動きやすいように」と左右、前後とピッチ全体を走り、球際の厳しい守備、果敢な攻撃を繰り返した。開幕が迫る中、持ち味発揮に懸命だ。「日々成長したい」と、練習後はすぐに映像で自分のプレーを確認する。

 筑波大で関東大学リーグ優勝、MVP獲得と華やかな実績を残しての新潟入りだ。「多くのサポーターがいるチーム。ありがたいと思った」。J1から降格した状況にも「カテゴリーは気にならない。むしろ試合数は多いので、出場のチャンスが増える」と前向きに捉える。

 常に感謝を忘れない。「大学や高校など、チームの仲間に恵まれたから今、こうしてプロの舞台に立たせてもらっている」。その中で努力は欠かさなかった。筑波大には一般入試で入学。市浦和では部活後、1日3、4時間の勉強をノルマにした。3年時は全国高校選手権に出場。3回戦で敗退後、センター試験まで1日8時間から10時間、受験勉強に取り組んだ。

 キャンプ中の練習試合、ハーフタイムや試合終了後にロッカールームに引き揚げるとき、ピッチ中央から正面スタンド下を通って戻った。「天然芝でサッカーができるのは当たり前ではない。ここでできること、整備してくれる人の気持ちを忘れないように」。ビッグスワンのピッチに立ったときは、プレーでファンに感謝を示すつもりだ。「J1昇格と、目標がはっきりしている。それを果たしたい」。最高の結果で応える。【斎藤慎一郎】

 ◆戸嶋祥郎(としま・さちろう)1995年(平7)9月26日生まれ、埼玉県出身。常磐中では浦和ジュニアユースに所属。市浦和に進み、3年のときに全国高校選手権で3回戦進出。筑波大では17年ユニバーシアード代表で優勝、関東大学リーグMVP。170センチ、65キロ。背番号26。