川崎フロンターレのDF奈良竜樹(24)が、急きょGKとしてゴールマウスに立つアクシデントに見舞われた。0-2でリードされた後半25分。川崎FはGKチョン・ソンリョンがペナルティーエリアの外に飛び出し浦和FWナバウトを止めようとして接触。レッドカードで一発退場になった。川崎Fは既に3枚の交代カードを使い切っていた。

 DF車屋紳太郎がベンチに呼ばれ、GKユニホームとグローブを受け取る。奈良は「(車屋)紳太郎君がGKをやるのかな」と思ったが、車屋は奈良を指さしてグローブとユニホームを渡し、奈良は自分の役目を悟った。

 奈良は「ソンリョンさんを退場させてしまったことに対して、思いを巡らせていた。それ以外は、細かな感情は覚えてない」。鬼木達監督は「普段の雰囲気と、攻撃と守備のバランスを見て決めました」と奈良のGK起用の理由を明かした。

 奈良にとってGKの経験は1度もない。最初のプレーは浦和DFマウリシオのFKだったが、しっかりボールをキャッチした。その後は、浦和MF長沢の至近距離のシュートも体に当てて止めた。川崎Fは10人になってから猛攻を仕掛けるが、得点できず0-2で敗れ、連勝が3でストップした。約20分間、GKとして無失点で終えた奈良は「DFで手が使えると思ってやっていた。シュートを止められたのも、僕以外の9人のおかげ。僕が何かをしたわけではない」と振り返った。続けて「10人になっても勝負を捨てない姿勢で最後まで何か起きる雰囲気があった。あそこで下向かずに前を向けたのは次につながる」と前を向いた。

 ただ、試合開始直後から浦和の激しい守備に後手に回り、持ち味のパスサッカーが封じられ良さがまったく出ないまま完敗した。奈良は「弱気にラインを下げてしまった。全体的に(守備で)強くいけないし、セカンドボールも拾えなかった。うちがうまくいくときはそこが徹底されてた。もう1回、そこを見直さないと」と猛省していた。