鹿島アントラーズが2連覇へ白星発進した。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)E組初戦で、ホームに同大会初出場のジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)を迎え、2-1で競り勝った。

J2FC町田ゼルビアへの期限付き移籍から3季ぶりに復帰したMF平戸太貴(21)が、本職ではない右サイドバックで今季初出場し、先制ゴールを挙げた。

古巣復帰戦で、いきなり魅せた。前半43分、自らが蹴った左コーナーキックのこぼれ球をタッチライン際で拾うと、ゴール前にDF町田が残っているのを確認して、右足を振り抜いた。「中で触っても入るし、触らなくても(町田が)ブラインドとなって入るボールをイメージして蹴りました」。美しい軌道を描いたボールは、町田の足元をかすめてそのままゴールへ。正確な技術が生み出した、鹿島でのうれしい初ゴールとなった。

本職のボランチでない右サイドバックでの出場も、そつなくこなした。試合前には主将のDF内田から、「飛び込まず守備から入って、目の前に立って対応しろ」とアドバイスをもらっていた。正確なキックで攻撃の起点になれるのが持ち味だが、攻撃参加したいところをグッとこらえて、守備から試合に入りペースを引き寄せた。

鹿島の下部組織出身で、16年にトップ昇格もルヴァン杯2試合の出場にとどまった。17年からの2年間はJ2町田に期限付き移籍し、セットプレーのキッカーを務めて武器により磨きをかけた。18年にはリーグ戦42試合中40試合に出場し、8得点17アシストでJ2アシスト王に。実戦を積むことで得た自信を胸に、ホームのサポーターの前で成長した姿を見せた。

それでも、試合では中盤でボールを奪われるなど、チーム全体にミスが目立った。平戸も「結果が出たことはすなおにうれしいけど、チームとしてはやらなきゃいけない」と、格下相手に大差をつけられなかったことに満足している様子はない。課題も多く浮かんだ、連覇への船出となった。【杉山理紗】

◆平戸太貴(ひらと・たいき)1997年(平9)4月18日生まれ、茨城県出身。鹿島ジュニアユース、同ユースを経て、16年にトップ昇格。同年のルヴァン杯でプロデビュー。17年、18年はJ2町田に期限付き移籍し、リーグ戦66試合に出場して11得点。18年には17アシストを記録し、J2アシスト王に輝いた。177センチ、68キロ。血液型O