成績不振のアビスパ福岡は、久藤清一新監督(44)の就任2戦目も初勝利はならなかった。試合終了間際の失点でドローに終わり、J3自動降格圏21位からの脱出にも失敗した。

新指揮官が「(攻撃の)タレントが多いことを考えて」と、3バックの守備重視で入った柏レイソル戦。幸先よく前半17分、06~10年まで福岡で共にプレーし「男にする」と指揮官のために燃えていたFW城後寿(33)の今季初得点で先制した。

だが柏の猛攻を耐えに耐えて迎えた後半ロスタイム5分に悪夢が待っていた。ラストワンプレーからのMF江坂のヘディングシュートが、右ポストに当たり無情にもゴールに吸い込まれた。選手はまるで敗戦したかのようにうなだれた。

城後は「(前節6月9日の)水戸戦であんな負け方(4失点完敗)をして、なんとしてもホームで勝ちたかった。勝って清さん(久藤監督)に勝ち点3をプレゼントしたいと思っていたのに残念」と肩を落とした。

久藤監督は、前監督の退任にともない6月3日にコーチから初めてJリーグの監督に昇格した。だが初采配となった水戸戦は攻守のバランスを欠き、今季ワースト4失点を喫した。

そこから指揮官は「攻守のバランスと切り替えのところ」とキーポイントを掲げ、特に「(FWの)前3人が強烈なので、ボランチを中心にゲームをつくって欲しいと(選手に)伝えた」という。さらには相手の井原正巳ヘッドコーチ(51)が昨季まで4年間、福岡で指揮を執ったこともあり、久藤監督は「狙われる選手もあるでしょう。情報は入っているでしょうしやりにくい」と、戦前から苦戦必至の戦いを想定し立て直しを図ってきた。それでも詰めの甘さを露呈した。

なんとも後味の悪い試合となったが下を向いている暇はない。城後は「次につながるファイトはできた。これを(柏戦)ベースにすれば結果は出る」。次節の22日徳島戦(鳴門大塚)で雪辱を期すしかない。