清水エスパルスが再び劇的勝利を飾った。アウェー名古屋グランパス戦の後半ロスタイムで1-1の同点に追いつかれたが、MF西沢健太(22)が2試合連続ゴール。前節の横浜戦に続き、試合終了直前の自らの得点で勝利をつかんだ。チームは最近5戦負けなしで、順位は11位に浮上した。

序盤から苦しんだ展開を「ブラジル人トリオ」で打ち破った。0-0で迎えた後半23分、ゴール前で鮮やかに相手DFを崩しきった。中央に切り込んだDFエウシーニョ(29)が右サイドにスルーパス。抜け出したMFヘナト・アウグスト(27)が折り返すと、FWドウグラスが滑り込みながら左足で押し込みネットを揺らした。ブラジル人助っ人3人の連係から先制点。少ないチャンスを確実に仕留めた。

「ボールを持たれるかもしれないが、イライラしないことが大事」。篠田善之監督(48)は押し込まれる展開を予想。前半は終始ボールを握られたが、DF二見宏志(27)とDFファン・ソッコ(29)を軸に粘り強く対応。最終ラインの踏ん張りに、好調な攻撃陣が応えた。

先制点を挙げたドウグラスはリーグ戦5試合連続ゴール。クラブのJ1では02年のFWバロン以来17シーズンぶりの快挙となった。「チームのためにゴールは常に狙っていきたい」。不整脈の治療などでリーグ序盤を棒に振ったものの、遅れを取り戻すべく、ゴールを量産。エースの勢いは止まらない。

課題だった守備は後半ロスタイムに失点。それでも、勝負を捨てなかった。同ロスタイム、右サイドを崩すと、西沢が右足で決勝点。前節ホーム横浜戦でも決勝点を挙げたルーキーが2試合連続でヒーローになった。篠田監督就任後は5戦負けなし(3勝2分け)。「目の前の試合を1つずつ大事に戦っていくだけ」と話す指揮官のもとで、チームは確実にたくましくなっている。【神谷亮磨】