ベルギー仕込みのダークホースDF小池裕太(22)が、鹿島アントラーズの史上初J1通算500勝を演出した。流通経大時代に特別指定選手として鹿島に在籍し、ベルギー1部シントトロイデンを経て今年3月、鹿島に復帰。自慢の左足でスーパーゴールを決めてみせ、ホームのファンに成長した姿を見せつけた。

小池の左足がチームを勝利へ導いた。前半40分、左サイドでコンビを組んだMF白崎とのワンツーで、浮き球パスに抜け出した。弾んだボールをすくい上げるように左足を振り抜くと、美しい放物線を描いたボールは、GKの指先を越えてネットを揺らした。

「正直狙ってはいない。たまたまクロスを狙ったらああいう弾道で入った」

そう答えた正直者は「サッカー人生の中で何回かああいうゴールがあったので、持ってるなあ」と照れ笑いした。

鹿島の左サイドバックは今季、DF安西が不動のレギュラーを張っていた。先月18日のACLサンフレッチェ広島戦で安西が負傷したことからチャンスを得て、同30日のリーグ広島戦で初めて先発出場したばかり。その試合ではこぼれ球を拾ってミドルシュートを決めたかに思われたが、試合終了後、シュートの軌道にいた選手の得点に訂正され、何ともいえない気持ちを味わっていた。

この日は正真正銘の、そして正々堂々の初ゴール。その得点が、Jクラブ史上初となるJ1通算500勝という記念すべき勝利をもたらした。安西のポルティモネンセ(ポルトガル1部)への移籍が秒読みの今、小池の台頭はチームにとって何よりの明るい話題。ベルギーからUターン帰りした22歳が、鹿島の新たなサイドバック像を築いてくれるかもしれない。【杉山理紗】

▼J1通算500勝 鹿島が6日のジュビロ磐田戦(カシマ)で達成。史上初。通算901試合目で到達。初勝利は初戦の93年5月16日名古屋戦。通算100勝はV川崎(現東京V)に次ぐ2番目の到達だったが、200勝以降の節目の勝利は鹿島が最速で達成している。