もったいない、痛恨の黒星-。コンサドーレ札幌は敵地でG大阪に1-2で敗れた。後半29分に不運なPKで先制されたが、同42分にセットプレーからDFキム・ミンテ(25)が貴重なアウェーゴールをゲット。だれもが引き分けと思ったロスタイムに、決勝ゴールを奪われた。決勝進出には、ホーム第2戦で勝つしかない。

    ◇    ◇    ◇クラブ初タイトルを目指す札幌には、敵地で痛い、痛い敗戦となった。後半ロスタイム5分、勝ち越し点を献上した。G大阪サポーターの歓声が選手の耳をつく。それでも前を向いた。MF宮沢主将はいう。「最後に点を取られ、もったいなく感じるけど、次の試合で結果を出せれば勝ち上がれるので」。同じ会場でのリーグ戦第28節、0-5での大敗から中4日。力は尽くした。雪辱はならなかったが、内容に悲観もしていなかった。

前回対戦から、ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)は守備面で修正をかけた。「MF菅が相手27番の選手(DF高尾)に対しプレッシャーをかける形はうまくいった。相手の攻撃で100%のチャンスをあまり作れていなかったし、前節より改善できた」。狙いは、はまった。宮沢が明かす。「4バック気味で、球際をつぶしていくコンセプトだった」。ただ、ただ、PKとゴール前の混戦からの2失点が悔やまれた。

敵地での大敗から3日後の7日の練習前ミーティング。指揮官は約1時間を使った。悔しさが感じられない選手の姿が、許せなかった。「お前ら人生かけてやってるのか。平気でコンビニに行くかもしれないが、俺だったら外に出られない」。強い言葉で選手を叱咤(しった)した。

菅野が「とんでもなかった」と振り返る熱量。これまで表だっては絶対にしてこなかった、選手個々に対するプレー内容の指摘も行った。ただ、怒りに任せ、怒鳴って終わり、ではない。「俺も采配のミスがあった」と自身の責も認めた。監督も選手も、この日の“再戦”にかける思いは強かった。

準決勝敗退が決まったわけではない。ホームで勝てば、スコアなど条件次第だが逆転で決勝進出が可能となる。仮に1-0なら、この日のアウェーゴールが生きる。一時は同点に追いつくゴールを決めたキムは言った。「シンプルですね。無失点で勝つ。それだけですね」。信じて待つサポーターに、今度こそ歓喜を届ける。【保坂果那】