ガンバ大阪が執念ドローで再出発した。新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)発生による活動休止を経て、開幕戦以来となる35日ぶりの公式戦に臨んだG大阪は、敵地広島戦を0-0で引き分けた。体力を消耗した後半は運動量が落ちながら、何とか勝ち点1を獲得。7日は福岡と待望の今季ホーム開幕戦で、今度こそ初白星をつかむ。

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G大阪に余力は残っていなかった。試合終了間際にFW宇佐美が右足で放った直接FKは、バーの上を越えた。後半途中からは運動量が落ち、球際での競り負けが目立った。開幕以来35日ぶりの公式戦は、限界に挑戦した90分間だった。

「勝つために準備してきたので残念」とドローを振り返った宮本監督は、本音では「全員が90分間やれるぎりぎりの状態だった。けが人がでることなくやれたのはよかった」。シュート数は広島の12本に対し、わずか5本。5人の交代枠を使い切る総力戦だった。

3月に新型コロナウイルスの陽性者8人(選手6人、スタッフ2人)を出し、計6試合が中止になった。陽性者が復帰し、全員がそろった練習は実質1週間程度。実戦感覚は紅白戦で取り戻すしかなかった。

「後半25分すぎから運動量が下がってくる感じがあった」と主将DF三浦。G大阪の総走行距離は広島を上回る約114キロ。球の保持率もパス成功率もほぼ互角だった。それでも後半は守勢に回り、指揮官は「厳しい1カ月だった。実戦と練習での強度はまったく違う」と、この日が7試合目だった広島との差を痛感させられた。

それだけに勝ち点1をつかんだ事実は大きい。DF昌子は「コロナに負けずに頑張っている姿を見せたかった。サッカーができる喜びがあった」。感染の影響で韓国代表も辞退したMFチュ・セジョンは「勝てれば一番よかったが、意義深い試合」。次は今季3試合目でようやく実現するホーム開幕戦。初勝利の喜びをサポーターと分かち合いたい。【横田和幸】