「神戸イニエスタ監督」が近い将来、本当に誕生するかもしれない。

37歳の誕生日だった5月11日、元スペイン代表はヴィッセル神戸と23年末まで2年間の契約延長を発表した。40歳以降も現役続行の可能性はあるが、会見では「選手としてだけではなく、クラブとは、今後もいろいろな形で常に関わり続けたい」と生涯神戸を明言した。

“いろいろな形”の1つが、神戸での監督という選択肢が入っているとみられる。本人はかねて欧州メディアに指導者転身の希望を語っており、ライセンスさえ取得すれば障害は何もない。あるチーム関係者が以前、こんな待望論を口にしていた。

「練習でも想定外のパスが常に出てくる。指導者になれば、どんな選手を育てるのか」

昨年12月に右太ももの腱(けん)を断裂した主将が、今季初出場したのがちょうど1カ月前。対戦相手だった広島の関係者は驚いたという。

「試合前の整列で神戸の選手のテンションが異常に高かった。イニエスタ1人の復帰で、ここまでチームの雰囲気が変わるとは。もしかすると、今季限りで引退するのでは、と勘ぐってしまったほど」

先日のC大阪戦の飲水タイム中、控えのイニエスタがDFフェルマーレンに熱心に助言をしていた。その試合終了間際にベルギー代表が、起死回生の来日初となる同点弾を決めた。カリスマが監督になれば、と想像がふくらむ。

契約延長会見の翌日、偶然にも、カタールの強豪アルサドで指揮を執る41歳シャビ監督が、23年まで契約延長となった。イニエスタと同じバルセロナ育ちで元スペイン代表MF。晩年にアルサドに移籍し引退、そのまま監督になった。同じ道筋を描き、イニエスタも神戸監督へ。夢の続きを期待したい。【横田和幸】