J2ジュビロ磐田は2-1でブラウブリッツ秋田を下し、今季最終戦を勝利で飾った。後半34分、MF鹿沼直生(24)が勝ち越し弾。J2初ゴールが値千金の決勝点となった。

ゴール左斜め45度の位置でボールを受けると、迷わず狙った。「ファーストタッチでいいところにボールをおけた」。右足をこすり上げるように振ると、鋭く曲がりながらゴール右のサイドネットへ。GKの手も届かない完璧なコースを射抜き「自分でもびっくりした」と目を丸くした。

鹿沼は「その場面で冷静になれたのはジュビロにきて成長した部分だと思う」と振り返った。今季加入でリーグ戦は19試合出場。しかし、先発はわずか3試合でメンバー外になる試合も多かった。本職とするボランチは元日本代表MF遠藤保仁(41)とMF山本康裕(32)が不動の存在。2人を脅かすような活躍はできなかった。

それでも、努力を続けてきた成果が結果につながった。その姿勢は高校時代から変わっていない。鹿沼は静岡学園高出身。高校2年時に全国選手権で8強入りしているが、県予選まではBチームだった。自身が置かれている状況が厳しくても、練習から100%を出し切る努力家。高校3年時にはスタメンを勝ち取り、専大を経てJリーガーになる夢をかなえた。

プロ1年目の昨季はJ3相模原で34試合に出場し、チームのJ2昇格に貢献。2年目の今季は磐田でJ1昇格を経験した。着実にステップアップし、来季は自身初のJ1への挑戦となる。鹿沼は「ライバルにはすごい先輩たちがいるけれど、自分にとっては越えていかなくてはいけない存在。越えていけたらもっとチームが強くなると思う。貪欲に頑張りたい」と先を見据えた。まだ24歳。努力し続ける成長株の飛躍に期待したい。【神谷亮磨】

▽得点経過 前半6分(磐田)小川大貴 前半34分(秋田)中村亮太 後半34分(磐田)鹿沼直生