新生サンフレッチェ広島の若きリーダー、DF荒木隼人(25)が7年ぶりのタイトル獲得を誓った。30年目のJリーグを迎える今季、広島はドイツ人のミヒャエル・スキッベ新監督(56)を迎え、15年以来7年ぶり4度目のJ1優勝を目指す。最終ラインでチームを支える荒木は、6年連続無冠からの脱出を約束。日本代表定着も狙い、飛躍のシーズンにする。【取材・構成=横田和幸】

広島でプロ4年目を迎えた荒木は、22年シーズンの目標を「タイトル奪取」と色紙に記した。

「J1リーグで優勝することが、一番の大きな目標。カップ戦を含めて、どんな試合、いや、すべての試合に勝ちたい」

今季からドイツ人のスキッベ監督が就任する。ドイツ代表コーチやギリシャ代表監督も歴任。シーズン最初から外国人が指揮するのは、クラブではペトロビッチ監督(現札幌)以来だ。

「外国人の指導者に教わるのは、僕は今回が初めて。(経歴を見ても)すごい方。ただ、ドイツ人だからとか、先入観を持たずに入りたいと思う」

広島は森保監督時代の12、13、15年にJ1優勝を飾って以来、昨季まで6年間無冠が続いた。93年のJリーグ発足後は天皇杯、ルヴァン杯(ナビスコ杯)でも優勝経験がない。城福監督4年目だった昨季は、成績不振から10月で当時の沢田ヘッドコーチが暫定指揮することになった。

広島ユース時代からトップチームの黄金期を見ていた荒木は、関大を経て入団した19年以後は6、8位、そして昨季が11位とJ1では下降線をたどった。

「(城福)監督は、責任を取る立場は監督だと常々言っていたが、やはりプレーするのは選手。選手が結果を出せないがゆえに(監督の)交代になってしまった。その中でも、シーズンを通して出ていた僕の責任は重い」

荒木は主に3バックの中央で、昨季はキャリアハイの36試合に出場。うち34試合にフル出場し、最終ラインを統率した。チームの全38試合で42失点は20チーム中で10番目、44得点は9番目という、ほぼ順位通りの数字だった。

「ただ(自身の)2得点は足りない。個人的には5点は取るつもりでシーズンに入っていた。2ゴールは正直、まだまだ取れたなと思う」

タイトル獲得や個人的な数字を高めたいのと同時に、日本代表定着の目標もある。19年11月にはベネズエラとの親善試合の代表メンバーに選ばれたものの、試合出場はなかった。

「しっかりレベルアップして、日の丸を背負ってプレーしたい。(DF佐々木)翔君が代表のセンターバックなので、僕にとっては1つの指標がある。勉強をさせてもらっている」

クラブの選手会長を務める荒木は、ピッチ内外で責任を背負って広島を勝利に導くリーダーになる。

◆荒木隼人(あらき・はやと)1996年(平8)8月7日、大阪・門真市生まれ。G大阪門真ジュニア、ユースを経て広島ユースへ。関大4年時に広島の特別指定となり、卒業後の19年にプロ契約。対人と高さに絶対的自信を持つセンターバック。入団3年間でJ1通算93試合5得点を記録。186センチ、77キロ。