今季3冠獲得の可能性があった両雄の対決は、広島が2-1でC大阪を劇的な逆転で破り、7大会ぶりの4強に進んだ。後半41分に追いつき、同46分にMF川村拓夢(23)が勝ち越し。天皇杯はJ発足後は準優勝5度だったが、69年度の前身東洋工業時代以来のVが視界に入り、リーグ戦とルヴァン杯の3冠の夢に前進した。10月5日の準決勝は京都-広島、甲府-鹿島に決まった。決勝は同16日。

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広島が、夢の3冠獲得へ劇的な勝利で前進した。敗色濃厚で迎えた後半41分、MF柏の起死回生の同点弾が生まれ、同46分に途中出場の川村が、鮮やかな勝ち越しヘッド。ラスト5分間で奪った連続ゴールに、川村は「チームを助けたい気持ちが、このヘディングになった」と喜んだ。

下部組織出身の川村はJ2愛媛での武者修行から4年ぶりに復帰した今季、J1初得点を含むここまで3得点とブレーク。3日のリーグ清水戦では約60メートルのスーパーゴールなど2発を決めていた。

スキッベ監督は1失点した前半の劣勢をはね返すため、後半最初から2.5列目に川村を投入。中盤を支配でき、采配が当たった指揮官は「拓夢の努力、強さ全てが込められたゴール。もちろんチーム全体をほめたい」と評価した。

就任1年目のドイツ人指揮官に導かれ、攻守に連動したサッカーを貫く。公式戦は8連勝となり、12試合連続で得点を記録。5連勝中のリーグ戦は現在2位だ。既に4強入りしたルヴァン杯を含め、14年度のG大阪以来の年間3冠へ、DF荒木は「ほんまに信じられない。3冠の目標がつながった」と充実の表情だった。【横田和幸】