清水エスパルスがクラブ史上2度目のJ2降格となった。アウェーでの札幌戦は3-4。J1残留へ勝利が絶対条件だった一戦で2度リードしたが、勝ちきれなかった。今夏の大型補強も実らず、9月以降は7戦勝ちなしで最終順位は17位。クラブ創設30周年の節目で陥落した。最下位磐田はホーム最終戦で京都とスコアレスドロー。同一シーズンで初となる清水と磐田の「ダブル降格」で、来季は史上初めてJ1から県勢クラブが姿を消す屈辱となった。

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最後の最後までチームは変わらなかった。清水は3-3で迎えた後半ロスタイムに失点して終戦した。ロスタイムの失点はJ1最多の「9」。J1残留へ勝利だけが必要だった大一番でも同じ失態を繰り返した。MF白崎凌兵(29)は「申し訳ない。今季を象徴する試合になってしまった」。20秒以上続いた沈黙の後に出てきた言葉が全てだった。

今季はクラブ過去最高の強化費21億円でスタートするも、5月に平岡宏章前監督(53)を解任。今夏は約4億円を使って元日本代表MF乾貴士(34)ら即戦力を補強したが、結果につながらなかった。大熊清ゼネラルマネジャーは「申し訳ない。責任を感じている」。ただ、自身の進退については明言せず「クラブが判断すること」と話すにとどめた。

15年にクラブは史上初のJ2降格を経験。16年は1年でJ1に返り咲いたが、その後は毎年のように残留争いに巻き込まれた。シーズン途中での監督交代も今年で4年連続。変化だけを繰り返してきたチームはただの寄せ集めだった。

下部組織出身のDF立田悠悟(24)も「とにかく残念。悔しい」と声を詰まらせた。15年の降格時は現場だけが責任を取っただけで、クラブの体質は変わらなかった。今回も同じ過ちを繰り返そうとしている。

結果を出せなかった現場に責任はある。だが、低迷を招いた元凶は明白だ。明確なビジョンがないクラブが招いた必然の降格。積み上げもなく、ただJ2に逆戻りした。【神谷亮磨】

▼J1得点王 清水FWチアゴ・サンタナ(29)が14得点でクラブ史上初のJ1得点王。チームは17位で来季J2に降格するが、降格チームから得点王が出るのは初。14ゴールは史上最少で、19年の仲川とマルコス・ジュニオール(ともに横浜)の15得点を更新。

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