浜松開誠館は2-1で常葉大橘を下し、初優勝を飾った。前半にFW坂上輝(あきら、3年)がヘディングで先制点。1度は追いつかれるも、後半にFW山口莉生(3年)の3戦連発弾で勝負を決めた。チームは県選手権に続き、今季2冠を達成した。優勝した浜松開誠館は来季のプレミアリーグ昇格を懸けたプレーオフ(9日開幕、広島)に出場する。

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浜松開誠館は最後まで勝負強かった。1-1で迎えた後半41分、右クロスをFW山口が打点の高いヘディングで合わせてネットを揺らした。途中出場の切り札が3試合連続ゴール。試合終盤で勝ち越し、歓喜の瞬間を迎えた。青嶋文明監督(54)は「夏以降は安定した戦いを見せてくれた。素直に褒めてあげたい」。リーグ戦は9月の11節から8連勝。普段は手厳しい指揮官も試合後は選手らとハイタッチを交わして目を細めた。

冷静な試合運びで勝利を呼び込んだ。後半は相手のパワープレーに押し込まれ、ゴール前で与えたFKから同点にされた。直後にピッチ上で集まり、声を掛け合った。「落ち着いてやろう」。動じずに仕切り直すと、後半20分以降は試合を掌握。途中出場した2人の連係で決勝点を奪った。先制点を挙げた坂上も「最後まで焦らずに自分たちのサッカーを貫けた」と胸を張った。

日本代表の快進撃も刺激になった。ワールドカップではドイツとスペインを破り、ベスト16入りを決めた。山口は「最後まであきらめないプレーが本当にすごいと思う。(青嶋)監督からも『勝負は細部に宿る』と言われて今日の試合に入った」。世界の強豪国に立ち向かっていく姿勢は選手の士気を上げる要因にもつながっていた。

チームは県選手権とプリンスリーグ東海の2冠を達成。目標のプレミアリーグ昇格に向けてさらに勢いづいた。プレーオフ初出場となった2016年は1回戦で新潟明訓に0-1で惜敗。青嶋監督は「プリンス優勝は通過点。慢心せずにしっかりと準備していきたい」と気を引き締めた。来季の昇格を懸けた真剣勝負が年末の全国選手権にもつながる。開誠館はまだまだ成長する。【神谷亮磨】