今月17日に開幕した今季のJリーグ。

昨年のFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会で16強入りした日本代表のJ1湘南ベルマーレFW町野修斗(23)は、30周年を盛り上げる注目プレーヤーの1人だ。W杯ではピッチに立てない悔しさを味わいながらも、「鉄人」DF長友佑都(FC東京)ら日の丸をつけた先輩たちから活躍の秘訣(ひけつ)を吸収。26年W杯でチームの中心に立つ未来を目指し、まず目指すのはJリーグ得点王。年男である「うさぎ年」の23年から、一気に跳ね上がる。【取材・構成=磯綾乃】

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年男の23歳。うさぎ年の町野は、跳ねるような声で今季の目標を宣言した。

「チームとして目標の5位以内を達成すること。18点以上のゴールを決めて、得点王になりたい。年男ですけど厄年でもあるので、厄を追い払うこと! けがなく健康に事故なく、できたらいいです」

その意気込み通り、湘南は18日の鳥栖との開幕戦で5-1の快勝。町野は得点こそなかったものの、連係した動きでゴールをアシスト。最高の23年のスタートを切った。

飛躍への足がかりはできた。昨季は14ゴールのチアゴ・サンタナに次いでリーグ2位の13ゴール。W杯メンバーに追加招集され、ベスト16の瞬間を経験した。しかし、4試合で町野に出番はなかった。

「悔しさの方が大きくて9対1くらい。やっぱりサッカー選手は試合に出てなんぼだと思うので」

きっぱりと言い切った口調ににじむ「悔しさ」。一方で、カタールで過ごした日々の学びは大きかった。川島、吉田、長友、柴崎…。ベテランの選手たちがいつもチームのことを第一に考え、先頭に立って声を出す姿。自身がさらに進化するためにも必要だと気づいた。

「昨年までは、あまりチームの中心となってしゃべる方ではなかった。W杯も経験しましたし、感じたことを伝えていく作業は必要。中心選手として、プレーでも言葉でも両方で伝えていきたいなと思っています」

中でも4大会連続出場を果たした長友は、ピッチ内外で目指したいお手本になった。

「チームに絶対必要な選手でしたし、佑都さんのおかげでポジティブな方向に進んでいたこともたくさんある。僕もそんな選手になりたい」

目に焼き付いている光景がある。毎日の練習後の約20分。長友は欠かさず、ゆっくりと走り続けていた。持久力向上に効果があるとされる「ローパワートレーニング」。明るいムードメーカーぶりが目立つが、陰では地道に、最前線でプレーし続けるための努力を怠らない。町野はW杯が終わった後も、長友の姿にならっている。

「“試合できつくなってくる70分以降により走れる効果がある”と教えてくれました。キャンプ中でも走るようにしていましたし、続けて行きたいなと思っています」

5度目のW杯を目指す背中に「鉄人だなと思います(笑い)」と驚きながらも尊敬のまなざしを向ける。底知れぬパワーを持つ先輩のように、4年後は自らが代表の真ん中に-。

「僕にはまだそんな余裕はないですし、競争に勝ち続けないと4年後のW杯の舞台にはいない。競争はもう始まっている。代表に定着し続けて、W杯のメンバーに選ばれるような期間にしたい」

カタールでの戦いを終え、オフに地元の三重・伊賀市に戻ると、大きな変化を感じた。どこに行っても声をかけられ、実家には色紙が山積み。うれしさとともに約500枚にサインを書き続けた。活躍を期待してくれる人のためにも、ここからゴールラッシュで沸かせたい。ネットを揺らした後には、もちろん代名詞の「忍者ポーズ」を披露するつもりだ。

「ポーズは継続して、その前後をアップデートしたい。(詳細は)企業秘密です(笑い)。楽しみにしていてください」

新ポーズの全貌がわかる日も、そう遠くはないはず。飛びはねるうさぎのように、4年後の大舞台に向けて、飛躍の1年にする。

◆町野修斗(まちの・しゅうと)1999年(平11)9月30日生まれ、三重・伊賀市出身。大阪・履正社高から、18年に横浜入り。19年はJ3北九州に期限付き移籍し、J2昇格に貢献し完全移籍。20年12月に北九州からJ1の湘南へ移籍。昨季は30試合13得点。22年7月に東アジアE-1選手権で日本代表デビュー。W杯カタール大会日本代表にも追加招集された。185センチ、80キロ。

◆W杯出場0試合からの飛躍

MF遠藤保仁は06年ドイツ大会で初選出も、全3試合でフィールドプレーヤーで唯一出場機会なし。10年南アフリカ大会では、司令塔として全4試合にスタメン出場し、1次リーグ・デンマーク戦では1ゴール。10年南アフリカ大会でDF内田篤人は出場機会がなかったが、14年ブラジル大会では全3試合でフル出場。14年ブラジル大会でにピッチ立てなかったDF酒井宏樹も18年ロシア大会で全4試合にフル出場。昨年22年カタール大会では、ロシアで出番がなかった悔しさを晴らしたMF遠藤航が、全4試合にフル出場して16強に貢献した。