アルビレックス新潟レディースはサンフレッチェ広島レジーナにPK戦の末に屈し、準優勝となった。

ともに初優勝を懸けた一戦は互いにゴールが奪えず、延長を終えて0-0からPK戦に突入。先攻広島は全員がキックを成功も、新潟は3人目のシュートが枠を外し、4人目がゴールバーに当て敗れた。新潟はこれまで皇后杯で4度決勝(11、13、15、16年度)に進出も全て準優勝に終わり、13、16年もPK戦で敗退していた。06年の入団から新潟一筋のMF上尾野辺めぐみ(37)にとっても、クラブでの初タイトルが懸かっていたが、またも届かなかった。

   ◇   ◇   ◇

等々力の空に向かって高々と優勝カップを掲げる広島の選手たちを、キャプテンマークを巻いてチームをけん引した上尾野辺は見つめた。06年の入団から新潟一筋の18季目。主力で戦い続け、皇后杯の決勝に4度、挑んできたが頂点には1度も立てていなかった。日本女子代表では11年W杯ドイツ大会で世界一も、クラブでは無冠。

「何でこんなに(タイトルが)取れないんだろう…。1回ぐらいいいじゃん」

優勝への強い思いが司令塔の足を動かした。120分間、独特のテンポで攻撃を操り、プレスバックで守備を助けた。得意の左足を生かしたセットプレーでチャンスも演出した。チームメートは上尾野辺を信頼しボールを預け、敵陣に出来るスペースに走り込んだ。

上尾野辺からのラブコールを受けて今夏、日本復帰し、チームに加入したMF川澄奈穂美(38)が右ウイングで攻撃に勢いをつけた。小学校の林間SCレモンズを経て大和シルフィード、日本女子代表でともに戦った2人は新潟で再会。「同じチームになるのは4度目。本当に腐れ縁だな」(川澄)。「(川澄は)いい意味でうるさい。ピッチ内外でチームにいい影響を与えてくれる」(上尾野辺)。ともにフル出場し、パスをつないで何度も相手ゴールに迫った。

最高の形で新シーズンをスタートさせることはできなかったが、下を向く内容ではない。上尾野辺は「守備は自信も持っていい。あとはゴール前の精度」と晴れやかな表情を見せる。昨季10位に沈んだリーグ戦が11月11日のアウェーINAC神戸レオネッサ戦からスタートする。「自分たちはチャレンジャー。悔しさを生かしていく」。この日の負けを原動力に変え、リーグトップ3入りを狙う。【小林忠】

 

○…スタジアムには約1500人の新潟サポーターが選手の背中を押したが、優勝へ1歩届かなかった。キックの名手、上尾野辺はPK戦を蹴らずに終わった。「実は練習で外しまくっていた。勇気を持ってPKを蹴った選手を誇りに思っている」。GK平尾は「チーム、めぐさん(上尾野辺)のためにもPKを止めたかった。この日の負けで一段と優勝したい気持ちが強くなった」と目に涙を浮かべながらリーグ戦、皇后杯での優勝を誓った。

 

◆新潟・橋川監督「両チームとも素晴らしいゲームをした。この決勝戦でリーグレベルの底上げ、ポテンシャルが上がっていることを示せた。負けはしたが、チームとしては3試合連続で無失点。急きょ、センターバックで出場した浦川も高さ、スピードといった長所を出した。競争しながら総合力を高めていきたい」