東京ヴェルディDF佐古真礼(まあや=22)が4日、東京・多摩市内で順大とのトレーニングマッチでキャプテンマークを巻いた。アカデミー出身の若武者は、スタッフの期待に応えようと闘志むき出しのプレーでフル出場した。
レギュラー組は参加せず、控え組の底上げをテーマにした練習試合。前半は3バックの左で、後半は中央でプレー。193センチとひときわ大柄の体で激しく大学生と肉弾戦を展開した。ボールを持てば、武器とする左足のロングキックを披露。左から右サイドの選手へ飛ばし、状況を一変した。
そして何より目立ったのは、絶えず周囲にかけた声だった。1点を追う後半は闘将となりチームを鼓舞し続けた。
試合は後半45分にCKから熊取谷が入れたボールをFW白井がダイビングヘッドで押し込み、辛くも1-1のドローだった。
試合後、佐古は「前半はふがいない試合をして、後半最後の15分に圧力を持って追いつけたのは良かったですけど、相手に火を付けられるような展開で、まだまだチームとしても個人としても甘いな、もっとやんなきゃいけない」と反省の弁を口にした。
前半42分には自陣右サイドを縦に持ち込まれてのクロスボールから、ダイビングヘッドをたたき込まれた。その失点場面をふりかえり、「一番最初にサイドに展開されたシーンで自分がつぶせれば何の問題もなかった。そこから逆に展開されてもクロス対応でウイングバックの選手が相手サイドハーフに前に入られてしまった。何個かミスが続くとああいう展開になってしまうし、そういうところは甘さが出た」と悔やんだ。
それでも声を張り上げ、仲間を指示する姿は目立っていた。プロ5年目には危機感がある。
「例えば監督が緊迫したタイミングでオレを使えるかというと、その信頼って考えた時にまだまだ甘さがあると思う。もう練習のピッチでやるしかないので、絶対的な守備の強さだったり、攻撃の部分では違いを見せられる部分もあるはずなので。守備のところでもっと安定感だったり強さっていうのを見せていくだけかなと思います」
熱い思いは止まらない。そんな佐古にキャプテンマークを託しことは、スタッフの期待の表れだろう。
城福監督は「彼の意欲とか積み重ねている努力だけじゃなく、実際にプレーの中でやれていることが増えてきている。こういうピッチでできるだけ長く起用することで、その課題のところはより鮮明になってくる。球際の強さだけじゃなくて、粘り強さっていうところの、彼の課題をゲームの中で改善してほしいなって思います」と話した。
左利きのセンターバックは、アカデミー時代から大器として期待された。トップチーム昇格後はレンタル移籍を繰り返し、昨季はいわてグルージャ盛岡に在籍した。その昨年10月、左膝前十字靱帯(じんたい)損傷、左半月板損傷という重傷を負い、手術を受け全治8カ月。地道なリハビリを経て、今夏からようやくチームに合流した。そして8月の天皇杯1試合とリーグ戦3試合にベンチ入りし、J1デビューも間近となっている。
不遇の時を経て、こう話す。
「人生何があるか分からない。自分の中で変わるきっかけをくれたケガだったふうに思っているので、それを形にできるようにしたい。もう1個、2個強くなって頑張りたい。このまま終わりたくない気持ちもあるし、体と向き合える半年だったし、こうやってヴェルディに帰ってくることができて出会えた指導者の方だったり、仲間だったり、そういった存在が自分を強くしてくれているので、それに食らい付いていく思いです」
今季リーグ戦も残す所10試合となった。東京Vは14位とJ1残留争いの渦中にいる。今夏は主力選手が抜けたことも影響し、厳しい戦いが続いている。
「僕みたいな選手がピッチに立ったり、レギュラーで今出ている選手を脅かすような存在にならないと、チームとしてもう1個上のステージだったり、もう1個上の強さっていうのはつかめないと思う。その覚悟を残り数カ月で見せたいと思います」
小学生時代から緑のユニホームを身にまとってきた生え抜きの男は、恩返しの意味も込め、自らの殻を破ろうとしている。【佐藤隆志】



