20年ぶり6度目の優勝を目指すカナリア軍団に、暗雲が垂れ込めた。

1次リーグ突破を決めているG組ブラジルは、先発10人を入れ替えて臨んだカメルーン戦で、後半ロスタイムに決勝点を喫して0-1で敗れた。スイスに得失点差で上回り、首位通過は確定させたが、1次リーグでの敗戦は98年フランス大会のノルウェー戦以来18試合ぶり。エースFWネイマールを負傷で欠くなど主力に負傷者が続出した上、決勝トーナメント1回戦の韓国戦は中2日。イバラの道が続きそうだ。

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「誰が負けたって? 私たち全員だ」。ブラジルのチチ監督の言葉に、いら立ちがにじんでいた。中2日で迎える決勝トーナメント1回戦に備えて主力を休ませ、先発10人を入れ替えた。層の厚さには自信を持っていたが、再三の決定機もGKエパシの好セーブにも阻まれて無得点。ロスタイムには痛恨の決勝点を決められて、アフリカ勢にW杯初黒星を喫した。

攻撃は相手の2倍以上の19本のシュートを決め切れず、過去2戦を枠内シュート0に抑えた守備は、失点も含めて7本中3本の枠内シュートを打たれた。DFアウベスは「(敗戦は)警告だ。試合中にスイッチを入れたままにしておかなければ、小さなミスで終わる」と危機感を強めた。

主力の負傷ドミノも止まらない。左サイドバックのDFアレックステレスが右ひざの負傷で交代。FWガブリエルジェズスも右ひざを痛めた。すでに初戦のセルビア戦で右足首を痛めたFWネイマールと、右サイドバックのDFダニーロが離脱している。スイス戦で左臀部(でんぶ)を痛めた左サイドバックのDFアレックスサンドロも、ベンチにいなかった。

現時点で負傷者の復帰時期は明らかにされておらず、02年大会以来5大会ぶり6度目の優勝へ、決勝トーナメントで布陣や選手起用の見直しを迫られることは確実。この日4本のシュートを決められなかったFWマルチネリは「自信はなくしていない。次の試合に集中する」。陽気なカナリア軍団に緊張感が高まってきた。