目は赤いまま。日本代表DF吉田麻也(34)は、朝4時まで仲間と語り明かしていた。「(長友)佑都が交代で、前に出すぎて何回も怒られてたよねとか、永嗣くんがサポーターと抱きついて泣きじゃくってたよね、とか」。涙と笑顔で振り返れるほど、本当にいいチームだった。

W杯出場すら危ぶまれたところから、ドイツとスペインを破り、1次リーグ1位通過を決めた。8強を目指した5日のクロアチア戦。PK戦の末に力尽き、夢まであと1歩だった。

主将として日本代表を支えてきた4年間。吉田の心には「壮大に考えているプラン」があった。

「この大会で結果を残して、子どもがサッカーをやるようになって、僕は畑を整える。サッカーの裾野が広がって、質の高い選手が出てきて、その時に僕が監督になって、質の高い選手を引っ張る。これが僕の巨大な計画(笑い)。20年で考えています」

すでに動いている。Jクラブユースの選手が高校3年間で、コーチングライセンスを取るカリキュラムを設置することをJリーグに提案。「例えば(中村)憲剛さんとかウッチー(内田篤人)とか」実績を残した選手が、ライセンスを取得するための期間を短縮する案も伝えた。一定レベルの指導者が増えることで、多くの才能豊かな選手が育つ。そこから日本のサッカー界を底上げする、大きな計画だ。

約24分間。吉田は時折声を詰まらせながらも、話し続けた。「キャプテンという立場が成長させてくれた。プレッシャーがあったから自分を律することができたのは間違いない」。最後に、W杯はどんな場所かと問われた。「ブラボーでした。また帰ってきます」。戦友である長友の言葉を借りて、最高の舞台を表現した。【磯綾乃】