[ 2014年2月22日9時27分

 紙面から ]<ソチ五輪:フィギュアスケート>◇20日◇女子フリー

 バングーバー五輪銀メダリストの浅田真央(23=中京大)が、自己ベストを6・41点更新する142・71点の高得点をたたき出した。

 冒頭、代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を見事に決めると3回転ジャンプ6種類を8度決めて、得点を着実に積み重ねた。

 フリーでの3回転半成功の背景に、浅田とロシアを結ぶ糸があった。最初の習い事はフィギュアではなくバレエ。3歳で地元名古屋の「越智インターナショナルバレエ」に通い始めた。それは自身もバレエダンサーを目指していた母が、娘にもその魅力を知ってほしかったから。講師の越智久美子さん(53)は、本場ロシアでの受賞経験も持ち「ロシアン・メソッド」の指導を行っていた。

 そんなバレエを再開したのは12年9月。きっかけは同年夏にハンガリーで受けたレッスンだった。2、3日で脚の形が変わり始め、深層筋を鍛える独自の鍛錬が、フィギュアにも生きると痛感した。帰国後、越智さんを訪ね、週2回、1回1時間半ほどのレッスンが始まった。脚は次第に太く、強くなっていった。

 同時に食も変えた。ハンガリーの講師には「こんな痩せた脚では跳べない。鳥と豚を食べなさい」と言われていた。体重を気にして控えていた肉類も、積極的に食べた。そして、それが血肉となった。

 多忙の越智さんに代わって、主に指導したソロマハさんは、「バレエダンサーの脚は、格闘家の蹴り上げる脚より力強い。柔軟性と両方を持つことができる。真央の脚もそうなっていった」と振り返る。4年前より力強くなった脚。そしてその脚で成功させた3回転半。そこにはロシアの伝統が息づいていた。