[ 2014年2月10日8時49分

 紙面から ]フリースタイルスキー・モーグル女子の決勝で、5度目の五輪でメダル獲得を狙った上村愛子(34=北野建設)は惜しくも4位に終わった。試合後に、五輪からの引退を表明した。

 上村は今季いっぱいは現役を続ける考えだ。3月に地元長野の白馬で行われる全日本選手権を含め、3月以降のW杯にも、全戦出場する計画を立てている。理由は「後輩のため」。全日本スキー連盟の強化費は、前年度の強化指定選手の成績で決まる。そのため今季残りの試合で好成績を出せば、来季、後輩たちがW杯を転戦する強化費が増える。

 伊藤みきが予選直前に故障を再発させた。昨季、W杯で初優勝し、世界選手権で銀メダルを2個獲得した伊藤のリタイアは、すなわち日本モーグルの強化にも影を落とす。現在の女子選手のエースは上村だ。「来シーズンの強化費のことも考えて、全部出ます」。最後の最後まで、全力を出し切る決意を固めている。

 今季のW杯最終戦は、世界ランク上位選手だけが出場できる「モーグルX」。普段のモーグルからバージョンアップされた種目として行われる。通常のコース設定では第2エア後からゴールまでにコブがあるが、モーグルXは第2エア後すぐにゴール。エアの配点も高く設定されており、高難度のエアを披露する場になる予定だ。

 今回の五輪では披露しなかったのが、3Dエア「コークスクリュー」。トリノ五輪で使って以来、練習していなかった大技を昨夏から再び挑戦し始めた。今季はまだW杯でも使っていないが、バルサンコム大会では、大技の採用をヤンネ・コーチと検討した。技は体にはしみこんでいる。エアが重要視される最終戦へ準備を進めている。「エアも練習しないと。コークも練習しようかな」。上村の自分と向き合う鍛錬の日々はまだ続いていく。