ミックスゾーンに現れたサニブラウン・ハキーム(18=東京陸協)は開口一番、悔しさを吹き飛ばすかのように笑った。

 「いや~やらかしましたね」

 スタートから4歩目。右足のバランスが崩れ、上体が大きく前に倒れた。「ああ」。自己ベスト9秒台が4人、ヨハン・ブレーク(ジャマイカ)ら強豪が集う世界選手権準決勝では命取りのミスだった。追い風0・2メートルの10秒28の7着で敗退。日本人初のファイナリストを逃した。「やっぱり、悔しいですね。おそらく巻き返せなくはなかったと思うのですけど、少し気持ちが切れちゃった部分がありました。メンタル面も今後につなげていけたら」と唇をかんだ。

 10秒05だった予選のスタート時。「背中が膨れ上がってから、足が出ていた」という。より上のレベルに到達するため、コーチと相談し、背中の角度を修正を狙った。ただ「足が上がってこなくて転びそうになったのかな」と原因を分析した。

 あと200メートルと400メートルリレーが残っている。「ああいうレースをしてしまってもったいないのですけど、この敗因をつなげられたらと思います」と前を向いた。