陸上男子の川内優輝(30=埼玉県庁)が19日、埼玉県内で行われた上尾シティマラソン・ハーフの部に出場し、1時間3分35秒だった。

 16人の大学生の後、川内は苦しそうな表情でゴールを駆け抜けた。膝に手を付いて、呼吸を整えた。「最近調子がよくなかったので例年よりよくなかった」。フランス・カンヌ(5日)さいたま国際(12日)とフルマラソンが続いた。その疲労回復を優先し、走り込みが出来ていなかったという。ハーフの自己記録からは1分17秒遅れているだけに「走り込まないと体力を維持をできない」と唇をかんだ。

 ただ目の前の勝負に懸ける大学生の姿に力をもらった。レース途中、前を走る学生が転倒。「中学からずっとやってきて、このレースでダメだったら箱根のメンバー入りができないのかな…」「16人の箱根駅伝のメンバーに入れなかったら、引退になるのかな」などと思案を巡らせると、自らも「大学生の頃の熱い気持ちが戻ってきた」。来月3日の福岡国際は、15年世界選手権銀メダルのイエマネ・ツェガエ(エチオピア)12年ロンドン五輪覇者のスティーブン・キプロティク(ウガンダ)ら海外からもトップ選手がやってくる。9位だった今夏の世界選手権後は燃え尽き症候群に陥ったが「チャレンジャーとして挑む」。スイッチが入った。

 将来、やり遂げたいプランがある。「6大陸のマラソン大会出場」。アジア、欧州、アフリカ、北米、オセアニアはすでに走っており、残るは南米大陸だけ。過去にアルゼンチンでのレースから招待がきたというが、すでに出場が決まっていた高島平ロードレースと重なっており、断念したという。世界を転戦するランナーは「何のレースでもいいです」と南米からのオファーを心待ちにした。