■陸上:ダイヤモンドリーグ第6戦・ストックホルム大会展望■

 陸上のダイヤモンドリーグ第6戦バウハウスガランが10日、スウェーデンのストックホルムで開催される。昨年のロンドン世界陸上と一昨年のリオ五輪、過去2シーズンの金メダリスト10人がエントリーした。7日のオスロ大会に続き、北欧を舞台に世界最高レベルの戦いが繰り広げられる。連勝街道を突き進む女子走り高跳びの女王マリア・ラシツケネ(25=ロシア/個人参加)、男子100メートル日本記録(9秒98)保持者の桐生祥秀(22=日本生命)らが出場する。

 ラシツケネはダイヤモンドリーグに限らず、2016年7月1日から出場したすべての大会で勝ち続けている。ロシアのドーピング問題で2016年は8月以降試合に出ていないが、2017年は24試合に出場して全勝、今年も13戦で負け無しで現在41連勝中である。

 記録的にも昨年は2メートル03、04、06と自己ベストを3回更新。コンディションが良ければ2メートル09の世界記録にバーを上げる力はある。

 だが昨年のストックホルム大会は、2メートル04を跳んだ1週間後だったが2メートル00に終わった。北欧の大会は気温が低くなることも多く、記録はやってみなければわからないが、ラシツケネは連勝記録を伸ばすことでその強さをアピールするだろう。

 桐生はスペインで行っている日本選手権(6月22~24日)前の合宿中の出場となる。

 ダイヤモンドリーグの得点対象種目は1大会15種目前後。ストックホルム大会の100メートルは対象外なので、世界トップクラスの選手は出場しない。9秒台の自己記録を持っているのは、9秒95のカマー・ハイマン(28=ケイマン諸島)と桐生の2人。桐生、ハイマン、今季10秒01で走っているゲイビン・スメリー(31=カナダ)の3人の優勝争いになるが、ハイマンもスメリーも2015年以降の五輪&世界陸上では予選落ちという戦績。

 桐生は昨年6月のヨーロッパ遠征で自信をつけられず、日本選手権で4位と敗れた一因になった。今年は優勝争いを確実にしたいレースだ。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、一昨年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していた。昨年からシステムが変更され、ファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会を実施し、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ優勝者となるチャンピオンシップ形式になった。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4~6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計上位8人(種目によっては12人)がファイナル大会に進出。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈されるのに加え、来年の世界陸上への出場権が得られる。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。