最高の舞台に導かれ、今後への弾みを付ける。陸上男子短距離の飯塚翔太(28=ミズノ)がナイターの新大会「アスリートナイトゲームズイン福井」を翌日に控えた16日、会場の福井県営陸上競技場で調整した。

男子200メートルに出場する飯塚は、弟拓巳とスタート練習など約1時間半、体を動かした。「まず今年は目標はオリンピックと世界選手権の参加標準記録を切りたいと思っている。それに向けての弾みになるようなレースにしたい」と抱負を語った。

6月の日本選手権200メートルで痛めた右太もも裏の状態は完全ではないが、整う条件は完璧だ。福井県営陸上競技場は男子100メートルで桐生祥秀(23=日本生命)が日本人初の9秒台を出した場所で、9・98スタジアムの別名が付く。午後5時以降は適度な追い風が吹き、福井陸協の木原靖之専務理事が「狂ったような競技場」と表現するほど、好記録が連発するという。

また“神の手”のアシストも。トラックレースのスターターは福岡渉さん。桐生の9秒台を出した時にもスターターだ。その時は追い風参考記録が見込まれたコンディションだったが、風のリズムを読み切り、絶妙なタイミングで号砲を鳴らして、快挙を後押しした。舞台は最高だ。

飯塚は今季、4月に急性虫垂炎に見舞われ、日本選手権もけがに泣いた。秋の世界選手権(ドーハ)に出場するには、まず20秒40の参加標準記録を突破する必要がある。シーズンの前半は苦しんだが「これを乗り越えて、最後は終われればいい」。悪い流れを絶ち切って、これから巻き返す。