2020年東京オリンピック(五輪)のマラソンと競歩の札幌移転案を巡り、国際オリンピック委員会(IOC)の調整委員長を務めるジョン・コーツ氏と東京都の小池百合子知事が25日、都庁で会談した。

今回の問題でIOC幹部と小池氏が直接会うのは初めて。コーツ氏は両競技の東京実施の可能性を問われ「ノーだ」と完全否定。移転で生じる追加経費の財源に予備費を検討するとし、都民の税金が充てられる可能性が出てきた。

IOCは移転理由などをまとめた資料を公表した。札幌が東京と比べて8月の平均気温が3~4度低いことや、北海道マラソンを毎年夏に開いた実績を挙げている。また、多くの棄権者を出した陸上世界選手権の開催地ドーハと東京で、熱中症の危険度を示す暑さ指数(WBGT)が似ていると指摘。ドーハで救急搬送される選手のショッキングな写真も掲載し、札幌移転の正当性を主張した。開始時間の前倒しには「観客がいない真夜中に選手を走らせるのはアスリートファーストではない」「夜明け前は(報道用などの)ヘリコプターを飛ばせない」などと反対理由を列記した。