第96回東京箱根間往復大学駅伝で2年ぶり5度目の総合優勝を果たした青学大の原晋監督(52)が、歓喜から一夜明けた4日、箱根駅伝の大改革を提案した。フィニッシュ地点を東京・大手町から陸上マンの「聖地」国立競技場へと変更し、6万人大観衆の中でゴールする光景を正月の風物詩としたい考えだ。自らの手腕の是非を結果で示し続ける指揮官が、大胆な私案とその理由について語った。

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ズキズキする頭を抱えながら笑った。昨夜は2年ぶりの勝利の美酒に酔いすぎた原監督は「素直にうれしい」。10区間中7区間で区間新記録が飛び出した超高速レース。「新時代の幕開けじゃないですか。大学の競技レベルが世界を意識するレベルまで上がってきた」。そして陸上界をさらに盛り上げるべく、箱根駅伝の大胆な改革“大作戦”をぶち上げた。

フィニッシュ地点を国立競技場に-。「五輪でも国立競技場へのゴールが一番盛り上がるわけだから」。理由は他にも多くある。

国立競技場の観戦チケットを販売すれば、新たな収益源となる。国立競技場ならば、レース全体の中継映像を「パブリックビューイング」のごとく大型スクリーンで楽しむことも可能。「箱根駅伝観戦を6万人のお客さんに喜んでもらえる」。今の箱根人気を考えれば、スタンドは「絶対に埋まります」と断言する。その収益を各大学に分配できれば、強化にもつながる。

6万人の観客を前にゴールする光景が正月の風物詩となり、陸上には集客力があると証明できれば、競技の価値も高まる。現在、日本選手権は決まった場所で開催されていないが、「日本選手権、関東インカレを国立競技場でやる文化、制度にしていかないといけない。国立競技場が球技場になれば、陸上界の繁栄はなくなる」。人気は野球、サッカー界がライバルとする指揮官は、そう強調する。

「高校野球の聖地が甲子園なのと同じで、陸上マンの聖地は国立競技場なんですよ。学生に走らせてあげたい。国立競技場の6万人の歓声を浴びる機会があれば、学生は喜び、モチベーションも上がる。それを夢見て、箱根駅伝を志す人が増えれば、競技人口も増える。100回大会に向け、全国化を含め、いろんな改革をしないと」

大胆な発想だが、筋の通った理由が存在している。【上田悠太】