元110メートル障害日本記録保持者の金井大旺(たいおう、24=ミズノ)は天国と地獄を見た。

予選1組。絶好のスタートを決めた金井は7秒61で駆け抜けた。内藤真人が持っていた従来の日本記録を0秒14も更新。「冬季に取り組んできたことの途中確認としては技術的によかった」と振り返った。同大会は格付けの高く、東京五輪の出場権に関わる世界ランキングのポイントを多く獲得できる大会。決勝への期待が高まった。

その約3時間後の決勝。号砲に見事な反応で飛び出したが、即座に再びピストル音が鳴り響いた。号砲への反応は0秒099。人間が音を聞いてから反応するまで最短で0秒100かかるという医学的な根拠に基づき、号砲への反応速度は0秒100未満がフライングとなる。1000分1秒に泣き、フライングと判定された。昨年6月の日本選手権でも同じく0秒099で不正スタートとされていた。再びの悪夢だった。

金井は「フライングが続いている。直していきたい」と前を向いた。冬季練習も東京五輪のために、高いモチベーションで消化できている。まず目標は110メートルの東京五輪参加標準記録13秒32に設定する。今季の抱負を「参加標準記録を切って、東京オリンピックで自分のパフォーマンスを発揮したい」と語った。