ナイキの新旧厚底シューズが、東京マラソンを席巻した。海外勢も含めて上位30人中28人が同社の厚底シューズを使用した。

さらに世界陸連の新基準に適合した靴底3・95センチの新製品「エアズームアルファフライネクスト%」は日本新の大迫傑(28=ナイキ)ら同30人中9人が着用。日本人10人が2時間7分台以内を出した史上初の高速レースとなったが、その10人すべてが厚底シューズで走った。

   ◇   ◇   ◇

新旧が入り交じっても、厚底シューズの支持率は圧倒的だった。東京・丸の内のフィニッシュラインを、緑、黒、ピンク、緑&オレンジと色とりどりの厚底シューズが駆け抜ける。1位レゲセから30位大六野までで、28人がナイキの厚底シューズを使用。残り2人はアディダスとアシックスのものだった。

新厚底で日本新を出した大迫は「レースごとに終わった後の感触は違う。どれだけシューズの効果があったかはまだ言いにくいところがあるが、ナイキの新しい技術を使えることは僕らにとって強み」と言った。

世界陸連は1月31日に靴底の厚さ4センチ以内の新規定を発表。ナイキは2月5日に厚さ3・95センチの新製品を発表。この日から国内で販売され、今大会が「新厚底日本デビュー戦」だった。

旧厚底から新厚底に切り替えて2時間9分41秒の27位山本憲二(マツダ)は、こう言った。「10キロで痛めていた左足に違和感があった。後半に足が棒になったが、それでもすごくアシストしてくれる感覚があった。何とかサブテン(2時間10分切り)で抑えられた。すごく反発がある」。昨秋のMGCで使用した旧厚底との違いについても「柔らかさが全然変わるので。踏み込んだ時の感覚が、バランスボールの上を踏むような感じの柔らかさで反発がもらえる」と口にした。

走るのは選手で日々のたゆまぬ努力が大前提にあるが、新旧の厚底が2時間7分台以内の日本人10人という空前の好記録レースを演出した。【益田一弘】