陸上短距離のホープ、納村琉愛(北海道栄1年)の待ちに待った高校デビュー戦だった。5日の道央記録会第1戦女子100メートル。4・4メートルの追い風を受けてゴールをトップで駆け抜けた。タイムは参考記録ながら12秒08。同組で走った18年総体400メートルリレー優勝メンバーの松田奈夏(立命館慶祥3年)らを抑え、出場61人中最速タイムをマーク。「風が少しあったけど悪くなかった。しっかり走れた」。原石は十二分にその片りんを見せつけた。

156センチの小柄な体格には無尽蔵の才能が秘められている。堀下航監督(41)は「運動能力が高いし、器用でスピードがある。弱点がない」と太鼓判を押す。競技を始めて2年後には全国小学80メートル障害で日本一。100メートル障害2位だった全国中学の悔しさをぶつけたジュニアオリンピック(五輪)では同種目で道中学記録を樹立した。今季は短距離種目に軸足を置きスピードを磨いていく。

今春から故郷深川市を離れ、男子短距離の強豪、北海道栄に入り寮生活を送る。コロナ禍で入学早々に部活動は休止となったが「自分に一番合う。先輩から勉強したい」。地道に練習を積んできた成果を、今季初戦から発揮した。

道内高校女子短距離は全国でもトップクラス。昨年の日本選手権で29年ぶりに高校生女王になった御家瀬緑(19=住友電工、恵庭北)の2連覇を含め、総体では16年から4年連続で決勝進出者を出している。次世代を担う筆頭候補は「今年中に100メートルで11秒台を目指したい」。タイムを追求した先に、表彰台の頂点も見えてくる。【浅水友輝】

◆納村琉愛(のうむら・るな)2004年(平16)12月21日、深川市生まれ。深川一已小6年で全国小学80メートル障害優勝。深川一已中3年の全国中学では100メートルで準決勝進出(棄権)。ジュニア五輪では3年時に100メートル障害2位。自己記録は100メートル12秒17、200メートル25秒18。156センチ。