東京オリンピック(五輪)代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権長距離種目は4日、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われる。

女子1万メートルは新谷仁美(32=積水化学)の日本新の期待が高まる。「日本記録(30分48秒89)を出し、世界と戦うためのレース展開をしたい」と話す。14年に1度は引退し、会社員を経て、18年に復帰したランナーは今年、ハーフマラソン日本新、5000メートル日本歴代2位など好記録を連発。駅伝でも無類の強さを示している。しかし、昨年の日本選手権は3位だった。

その新谷のライバルとなるのが、昨年女王の鍋島莉奈(26=日本郵政グループ)だ。代表に決まっていた昨秋の世界選手権(ドーハ)前に右脛骨(けいこつ)を疲労骨折。故障に苦しんでいたが、今年9月の全日本実業団対抗選手権を制するなど、本来の輝きが戻ってきた。

2人は11月22日の全日本実業団対抗女子駅伝の3区(10・9キロ)でも直接対決した。ともに区間記録を上回ったが、結果は新谷が33分20秒、鍋島が34分25秒だった。展開も新谷が鍋島を追い抜き、突き放した。軍配は新谷に上がったが、トラックに舞台が移れば、また勝負のあやも変わってくる。鍋島は「ロードとトラックで出せる強みは違う」と闘志を燃やす。

東京五輪女子マラソン代表の一山麻緒(23=ワコール)、自己記録31分28秒20の岡本春美(22=三井住友海上)も力がある。17年、18年連覇の松田瑞生(25=ダイハツ)、過去4度五輪出場の福士加代子(38=ワコール)は欠場となった。

五輪代表の内定は、参加標準記録(31分25秒0)の突破と今大会の優勝。新谷はすでに参加標準記録はクリアしており、優勝で内定となる。