男子100メートルで9秒98の自己ベストを持つ小池祐貴(25=住友電工)が10秒04で優勝した。

ただ風は追い風4・0メートルで参考記録。今季初戦は背中から強すぎる風に押され、中盤以降は体が前に倒れた。小池は「転ばないように、足を頑張って回していた」と苦笑いだった。向かい風1・5メートルの条件だった予選は10秒37だった。

大きな自信を得た。目標を大きく立てた。「(五輪の)100メートルでメダルを取れるように」。決勝進出の先を見据えた。「オリンピックの決勝でメダルを狙うのであれば、自己ベストを結構大幅に更新しないといけない。メダルは9秒90ぐらいがライン。その実力が付けばいい」と言葉には自信がこもった。

昨季より5キロ落とし、「体が軽い。簡単に進む」。体重は減っても、鍛えてきたパワーも十分だ。技術も完成に近づいてきた。腰の不調も癒え、得意の左足前のスタートも戻した。「現実的な目標としてメダルと口に出せるようになった」。気温も上がり、試合を重ねていけば、自然とタイムは上がる確かな手応えがある。

昔はジャカルタ・アジア大会で金メダルを獲得した「200メートル」を本職と位置付けていたが、今は花の100メートルを軸に勝負するつもりだ。東京五輪も100メートルの代表を最優先に狙う。「競技人口も多く、100の方が勝つのは難しい。難しい方にチャレンジをしたい」。慶大4年秋までは競技を辞めることも考えていた男は、力強く言った。